「あずきちゃん」第58話 パンパカパーン! 携帯電話でSOS

放送当時、1996年の携帯電話普及率は25%程度で、ちょうど電話機の小型化と普及が急速に進んできた時期でした。

左がヨーコちゃんの携帯電話、右が香月先生の携帯電話ですが、この当時はたしかにこんな感じでした。伸ばすアンテナもありました。
この頃、山岳遭難といえばまだ無線機が活躍していた時代で、厳しいルートに行く人や用心深い人は自分で無線機を持っていましたし、一般ルートで事故に遭った場合は、近くの無線機のある有人小屋に行くか、固定電話のあるところまで下山するしかない感じでした。携帯電話も山中ではほとんどつながらず、携帯電話で遭難の通報があったというニュースに対しては、「ちゃんと無線機を持った方がいい」という批判的なコメントが多かった気がします。自分も最初に山頂で電話をしている人を見たときはびっくりしましたが、今のように、山頂や見通しのよいところではかなり携帯電話がつながり、無線機が廃れてしまったのは隔世の感があります。
雪室さんは無線マニアだったそうなので、無線機の山での活躍を知っていて、それを携帯電話に置き換えた作品にしたのだと思います。奇しくも10年以上経って、山中でもかなり通話できるようになり、時代を予言した作品だったと言うのは言い過ぎ(笑)でしょうか。

ついでに、吊り橋やカミナリを極端に怖がるまことくん。以前はお化けやヘビにも弱くて、すっかり怖がり属性が定着してしまいましたが、なんとなく雪室さんのエッセイで「飛行機恐怖症」のことを読むと、自分の恐怖症をまことくんに投影しているのではないかと感じます。

ちなみに私もキノコ恐怖症(mycophobia)なので人のことは言えなく、こういう画像が突然出てくると身がすくみます。(精神衛生のために画像処理をさせていただきました)

この話で気になったのは作画で、キャラクターの作画も全体に変ですが、動きにも精彩がなく細かな表現に欠けています。まばたきも少ないような気がしますし、動画枚数がいつもに比べてかなり少ないのではないでしょうか。作画監督も演出もこの話が「あずきちゃん」で初担当だったので、余裕がなかったのかもしれません。
昔は作画のことが全然気にならなかったのですが、気になり出すとダメですね。