「あずきちゃん」第78話 終わらない最終回

いやー、すばらしい第2期最終回でした。
第1期最終回は交換日記の終わりを描いたオリジナル回で、あまり最終回らしい感じではありませんでしたが、結婚式、ブーケ、記念写真というエンディングを迎えるこの第78話は、どことなく原作のエピローグ「未来の時計」を基にしたような、ぐっと最終回らしい印象を受ける話でした。

原作と比較すると、結婚するのは香月先生で全然違っているのですが、もしかすると第2期は香月先生の登場で始まり、結婚で終わるというアイディアは最初から構想していたのかもしれません。

というのも、第40話冒頭の「あの女性は誰?」というのと、この話の冒頭の「香月先生の結婚相手は誰?」という構造が全くそっくりなのです。しかも、舞台はどちらも満塁軒でラーメンがらみの話になっています。新郎・ケントさん宅にラーメンを出前しに行ったばかりに、ケンちゃんたち3人は結婚式にも招待されることになります。

香月先生が「初めて会ったときに結婚すると直感した」と聞いて、自分にはそれが無かったと悩むあずきには、ジダマじゃなくても突っ込みたくなります。さらに結婚式にかこつけて新しいドレスを買おうというヨーコちゃんとジダマの対決! こんな話なのに意外とジダマも活躍です。

そしてだいずには、ウエディングドレスの裾持ち(トレーンベアラーと言うそうです)の役が降ってきます。だいずの「エンディングドレス」は20年前にはただの言い間違いでしたが、今ではちゃんと意味が付与され、全く別なものになりました…。

しかし練習台があずきではなく、お母さんというのがすばらしいですよね。おかげで大役は何とか果たせたようです。

落胆するまことにはトモちゃんが、感涙のかおるちゃんにはケンが横にいます。2年間で変わってきた人間関係がこんなところにも垣間見られます。

そして、原作のかおるちゃんは、ブーケをあずき(既婚)に手渡すという暴挙に出ますが、香月先生は常識人らしくちゃんとブーケをトスします。スポーツも万能そうな香月先生ですから、ちゃんと対象者付近に向けて投げたはずですが、その時、不意に突風が!


突然飛んできたブーケに、最初は自分のことではないような、そして次には驚き、最後には覚悟を決めて両手を差し出したあずきの表情には、まるで勇之助と出会ってから自分の手につかむまでの長いドラマがこめられているかのようです。見ている自分まで、走馬燈のように「あずきちゃん」のいろいろな場面を思い出してしまいました。さすが小島監督直々の演出です。「あずきちゃん」でのベストカットの一つと言っていいのではないでしょうか。
このズームアップのカットは、自分は途切れた静止画の連続として感じていたので、6コマとか特殊なアニメーションなのかと思っていたのですが、今回コマ送りして見ると、ずっと3コマ作画なのですね。

ラストシーンの写真は、多胡先生が撮ったのでしょう。メンバーは変わっていますが、やはり原作を基にしていると思います。あずきのドレスも、何となく似ています。
ずっと再放送で、毎週1話ずつ見てきたから感じるのかもしれませんが、主要キャラの2年間の到達点を短い時間に詰め込んだこの第78話は、やはりすばらしい最終回だったと思います。しかし、これが通過点に過ぎないのですから「あずきちゃん」は恐ろしいのです。