「あずきちゃん」第85話 NHKスタジオパークに行こう

この話は、あずき、だいず(+お母さん)、まこと、ヨーコ、クラスメイト(+先生)と別々な経路で並行する結構ややこしい話なのに、そんなことを微塵も感じさせない構成力が見事です。複数に別れて目的地を目指す「お出かけ話」は雪室さんの得意パターンとは言え、その中でも際立つ作品ではないかと思います。さらに、絵コンテ・演出が片渕さん、作監が芦野さんと豪華スタッフ回でもあり、恋愛要素がほぼゼロであることに不満がなければ(笑)最高の話の一つになるのではないでしょうか。

物語の前半は、だいずの突然の急病と、ロボロボ太郎の話になります。学校の社会科見学でテレビ局に行くという前日に、だいずが虫垂炎で入院したという電話があり、あずきは動揺します。

ロボロボ太郎と社会科見学をめぐる姉弟間の確執については、回想の形で描かれています。これがある意味、この話の主題になるわけです。アニメの回想シーンというと、とかく冗長でテンポの悪いイメージがありますが、この3回に小分けする出し方といい、本編とのつなげ方といい、あまりに巧妙なことに驚かされます。

入院騒ぎの余波で寝坊をしたあずきは、普通に遅刻したまことと、あずき父の車でテレビ局に向かいますが、首都高4号線の事故渋滞で一向に先に進みません。実はクラスメイトの乗ったバスの直前で、トラックと高級車の衝突が起きていたのでした。

この話の目的地は、放送局(渋谷のNHKスタジオパークですね)と、だいずの入院した病院の2箇所で、後半は主に放送局内でのドタバタが続きます。
NHKスタジオパークは巡礼やらジダマさんの公開放送で何度も行きました。昔(15年前か…)は売店で「あずきちゃん」グッズも売っていたのですが。


ドタバタの主役はヨーコちゃんとまこと。多胡先生も続発する不明者にすっかり弱気になり、お気の毒(笑)でした。多胡先生がまこと不在に気づかなかったり、弱気になってきたと独白するセリフは、雪室脚本には珍しい説明調で、シリーズ中でも少し特異な印象です。片渕さんが面白がって付け足したような気も?

今回もスタジオパークのお姉さんをはじめ、モブキャラが多いですが、クラスメイトもよくわからない人がいます。手前左から中島さん、内村くん、これは…西山さん? 病院の看護婦さんはあおいさん似でした。

このへんのあずきの表情は片渕さんの仕業ですね。第27話ほどではないですが、今回のような心配事では効果的でした。

大事なく退院して家路につくところも、ラストを締める名シーンです。第81話に続き道路を動かす演出や、後から俯瞰しながら遠ざかっていくカメラワークなど、注意して見ると結構凝っていますね。