「あずきちゃん」第113話 近藤プロデューサーの骨折りに感謝

今回は、満塁軒で買った新車に乗って八ヶ岳に行く話です。ケンの父の友人?の近藤が経営するペンション「青いレタス」に泊まるはずでしたが、近藤がスキーで骨折してしまうことで話がややこしくなります。

その「近藤」ですが、おそらくプロデューサーの近藤栄三さんから取った名前だと思うのです。
TVアニメのプロデューサーというのは、視聴者には直接仕事が見えないので非常にわかりにくい存在なのですが、番組の企画書を書いたり、原作と主要アニメスタッフを結びつけたり、名前の通り番組の根幹に関わっている人なのです。脚本家は監督が呼んでくるときもあるようですが、雪室さんはほとんどプロデューサーとの縁で引っぱられてくるようで、エッセイ「テクマクマヤコン」でも関わったプロデューサーのことをたくさん書いています。
近藤プロデューサーは「あずきちゃん」DVD-BOXのブックレットにも、『サザエさんの制作進行をしていたときの夢「脚本家の雪室俊一先生と仕事をしたい」が叶い…』と書いているので、雪室さんを「あずきちゃん」にフィーチャーしてきた張本人に違いないと思っています。骨折出演の機会に感謝を申し上げたいです。

満塁軒の新車は7人乗りのワゴン車です。峠を走るのには向かなそうな車ですが、今まで誰も満塁軒の痛車を作った人はいないと思いますので、どなたか…。
この車に乗る人が次々と変わっていくのが、今回の面白いところと言えましょう。順にたどっていって、車に乗っていない人を[大カッコ]でくくってみますと、

  1. だいずの目論見:ケン父(ドライバー)、ケン、勇之助、あずき、かおる、ジダマ、だいず
  2. 実際の計画:ケン父(ドライバー)、ケン、勇之助、あずき、かおる、ジダマ、まこと [だいずは行けない]
  3. 脱落者発生:ケン父(ドライバー)、ケン、勇之助、あずき、かおる
  4. おじゃま虫追加:ケン父(ドライバー)、ケン、勇之助、あずき、かおる、だいず、ヨーコ
  5. 実際のドライブ:ケン父(ドライバー)、ケン、勇之助、あずき、かおる、だいず、ヨーコ [ジダマとまことは結局電車で別行動]
  6. 近藤骨折:ケン父(ドライバー)、ヨーコ(睡眠中) [ケン、勇之助、あずき、かおる、だいずは途中から徒歩][ジダマとまことは駅から徒歩]
  7. 病院帰り:ケン父(ドライバー) [ヨーコは病院から徒歩][ケン、勇之助、あずき、かおる、だいずは香月先生宅][ジダマとまことはペンション]
  8. 大団円:[ペンションに全員集合]

この搭乗人物の変化一つ一つに、ちゃんとエピソードが存在していて、話もしっかりつながっているのです。別々のルートに分かれて同じ目的地に着くお出かけ話は雪室さんの得意パターンですが、その中でも最大級の複雑話だと思います。


ジダマとまことが電車で着いた駅は、甲斐大泉駅がモデルになっているのは常識でしょう。

ガッツあるヨーコちゃんは、だんだん憎めない存在になってきました。
こんなに込み入った展開で、八ヶ岳の往路だけでもお腹いっぱいだというのに、香月先生のことやペンションでのエピソードもしっかり書き、これでエンディングかと思ったらあと2分残して翌日のスキーも入れちゃうのです。見ていて時間感覚が狂う密度感です。光速に近い速度で移動していると時間が遅く進むという、あの某理論のようであります。

今回発見したのは、同じ日にペンションに泊まった団体が高校生だったことで、雰囲気的に大学生だと思っていたのに意外でした。あと、近藤は30人近い宿泊者を一人でさばくつもりだったのだろうかと疑問も…。これは気にしないということで。