震度とマグニチュードの関係

ネットで「震度とマグニチュードの関係」を検索すると、「震度とマグニチュードは、地震の性質を表す異なる指標であり・・・」というような結果しか出てきません。そんなことは先刻承知で、両者の詳しい関係を知りたいのです。

というのも、大昔、高校の「地学」の授業で、ほとんど教科書を使わないO先生が、自作プリントの教材で

  • 地震のマグニチュードは、震源から100kmでの震幅の対数と関係している。
  • 震度も観測点での震幅と関係するが、実際の値は体感で決めている。

といった説明をして、具体例の表も出ていたのを記憶しているのですが、その後こういった話を聞くことはなく、検索しても出てこないので、不思議に思っていました。

最近ようやく、これらの定義が時代と観測機器の変化に伴い変わってきていて、歴史的変遷を調べることが必要だとわかってきました。

マグニチュードは元々、1935年頃に地震計の振幅の対数で定義したもの(リヒター・マグニチュード)から始まりました。日本では、河角廣という地震学者が1951年に、震度とマグニチュード、震央距離の関係を数式に近似し、係数を最適化したものを提唱し、これが長年使われてきたようです。1984年に宇津徳治という地震学者が発表した論文「震度-震央距離-マグニチュードの関係」に河角の式が以下のように紹介されています。

これを見ると、震央距離Δ=100kmでI=Mkという単純な式となり、O先生のプリントはこのへんのちゃんとした学会情報を基に作られたと思われます。河角の式としては、他に震度と加速度を結びつけるものがあることもわかり、元々体感や建築被害で定義された「震度」を数値として評価する礎を築いた方のようです。しかし、この引用部だけでもマグニチュードが3種類あり、さらに多くのマグニチュードの定義もあって、どのように使い分ければよいのかは正直よくわかりません。

現在では、マグニチュードは震源の破壊と直接関連して議論されていますし、地震波測定も2軸の地震計から3軸の加速度計に置き換えられ、震度の定義も加速度で行われるようになりました。震度分布も近似式ではなく、実際の地中の構造を考えたコンピュータシミュレーションが可能になり、現在の緊急地震速報などが実現されているのだと想像しています。

震度とマグニチュードの近似関係式は最早不要になっているのかもしれませんが、河角の式をベースにして大規模な地震データを取り入れて解析した、1995年のMolas & Yamazakiの式

が最近でも割と使われているようです。PGAがピーク加速度であり、震度と結びつける河角の式(計測震度I=2 log10(a)+0.7、aが加速度(cm/s2))を使えば、震度とマグニチュードの近似関係が得られます。Molas & Yamazakiの式のlog10(PGA)をlog10(a)=0.5(I-0.7)と置き換えれば、あら不思議、計測震度Iとマグニチュードは(震源からの距離rや震源深さhが変わらなければ)線形でしかも係数がほとんど1の関係が得られます。本当にこんなことがあるんでしょうか。

ここ数日、熊本県のほとんど同じ震源域から多数の地震が発生するという事象が起きています。これは震度とマグニチュードの関係を検証するチャンスではないかと思い、データをプロットしてみました。

データは

震源データベースと震源マップ(リアルタイム版) | 地震関連情報

から取ってきたものです。一連の余震の震源は全て地表付近(震源の深さ10km程度)なので、震度としては単純に最大震度を採用することで、震源からの距離rと深さhをほぼ統一した条件での比較になるのではないかと考えました。(重なるデータが多数あるので、ぴったり重なるデータは横軸を若干ずらしてプロットしています)

やはり、震度とマグニチュードは傾き1の直線にだいたい乗っていると思われます。Molas & Yamazakiの式でr=h=10km、c=0(観測地点での地盤補正パラメータ)としたものもプロットしてみましたが、傾向がほぼ合っています。rを小さくすればもっと合いますが、もともと近似式ですし、r=0が特異点になるため震源ごく近傍で使うべき式ではないと思われるので、傾きが合っていることを確認できることで十分でしょう。

以上の考察からざっくりと、

  • 震源の距離、深さが同じであれば、震度はマグニチュードと線形で傾き約1となる。(そもそも、マグニチュードが1増えるとエネルギーが10^(3/2)倍になるという定義がこのような関係を意図していたのでは)
  • 今回の熊本のような浅い直下型の地震の場合(r=10kmくらい)は、大雑把に震度とマグニチュードは同じくらいの数値になる。(たぶん、M7で断層破断面の長さが数10kmになるので、それ以上に大きな地震は点震源近似からかなり外れてくるでしょう、そんな地震は海溝でしか起きないでしょうが)
  • 震源からの距離が100kmくらいになると(log10r=2となる)、浅い直下地震に比べると震度は2程度(加速度は1桁)落ちる。

という程度は言ってもよいのではないか・・・という感じがします。(もちろん、震度が0から7に限られていることや、地盤の状態や地中の構造によってプラスマイナスが出ることは承知のうえで)

日本に住むうえでは知っておくと便利な結果ではないかと思いますし、「震度」の出ない海外の震災を想像するにも役立つと思うのですが、ほとんどこういう話は聞きません。自分の出した結果が間違っているのかもしれませんが、邪推をすると地震の専門家はあえてこういう話を避けているのではないでしょうか。というのは、この手の話は原発などのリスクアセスメントに直結し、反対・推進いずれにしても怪しい議論に巻き込まれる可能性がありそうなのです。

なお、紹介した論文は東京大学リポジトリからpdfがダウンロードできましたが、今日はサーバが落ちているのかアクセスできません。興味ある方は検索してください。

  • 宇津徳治、震度-震央-マグニチュードの関係、地震研究所彙報 Vol.59, p.219 (1984)
  • G. Molas and F. Yamazaki, Attenuation of Earthquake Ground Motion in Japan Including Deep Focus Events, Bull. Seismological Soc. Am., Vol.85, p.1343 (1995)

自分は東日本震災で震度6弱を、起震装置では震度7も体験したことがありますが、今後も震度6以上は御免被りたいですね。

クマにあったらどうするか アイヌ民族最後の狩人 姉崎等

最近出たクマ対策ハウツー本かと思いきや、2002年出版(2014年文庫化)のロングセラーでした。もちろん「どうするか」の話もたくさん書いてありますが、クマの習性や考え方の探求がとても深く、またインタビュー形式でこれを語る猟師の姉崎さんの体験談もすごく面白い内容でした。

「クマは自分の師匠」と言う姉崎さんはクマの足跡をたどって北海道の山を一人で歩くうちに、人間とは異なる合理的な山の歩き方を身につけたとのことです。父親が早くに亡くなったことで、生活のために小学校にも行かず一人で山に入って小動物のわな猟や、山菜採り、魚釣りをしてお金を稼いでいたとのことでした。福祉が発達し、安全に対する考え方がすっかり変わってしまった現代では、このような人はもう出てこないでしょう。

60頭に及ぶクマ狩猟経験以外にも、山中での遭遇経験も多く、「クマの気持ち」を理解できる数少ない人であったようです。姉崎さんによると、クマは人間をよく観察していて「人間は自分より強くて怖い」と考えていて、注意深く人を避ける行動をしている。クマが人を襲うのは、いきなり出くわして襲われると錯覚した場合や、人が背中を見せて逃げて相手が弱いとわかった場合だそうです。ということで、出会ってしまったとき、逃げるのは絶対ダメなのでした。また、人間が弱いエサになることを認識してしまったクマは、駆除するしかないそうです。

この本は道央のヒグマの話なので、本州のクマとどの程度習性が共通しているかは不明です。また、姉崎さんは既に故人であるため、最近の街に出てくるクマが何を考えているのかを聞くことができないのは残念です。ただ、植林した針葉樹林はエサとなるドングリも無くクマは住めないそうなので、林業政策の影響というのは間違いないでしょう。

自分は登山でクマに襲われるリスクは、件数も年間数件で、通常の遭難(年間数百件?)よりもかなり低いのではと思ってましたが、この本を読んで納得できました。(正直、登山口までの交通事故のリスクが一番大きいのではないかと・・・)

謎の広告番組

少し古い話で恐縮ですが、26年3月22日の「サザエさん」はお出かけ特番の1時間枠でした。ここ最近、スペシャル回に雪室さんが登場することはなく、このときの「サザエ、シャチに会いに行く!」も浪江さんの脚本でした。

一家で鴨川シーワールド(水族館)に行く話なのですが、何というか施設展示の紹介が延々と続くような作品で、まるでシーワールドの広告動画です。途中にサザエたちが出てくる「日産自動車」や「明治安田生命」のアニメCMが挟まりますが、どっちが本編でどっちがCMなのかわからなくなる感覚でした。

そのときは特にそれ以上何も思わなかったのですが、最近ふと「もし鴨川シーワールドがあの番組に広告宣伝費を出していたのなら本当の広告なのでは」と疑問がわきました。仮にそうだとすると「日本民間放送連盟放送基準」(項目148)の60分放送枠での標準広告時間(6分)を大幅に超えてしまうのではないでしょうか。

日本民間放送連盟 放送基準 | 一般社団法人 日本民間放送連盟

この放送基準を見ていると、他にもコマーシャル総量は18%以内という総量規制(項目147)があるのもわかりました。ええー、テレビ通販を延々とやっている局もあるのに18%に収まるの?という感じですが、さらに調べてみると「通販番組(TVショッピング)」はあくまで番組であって広告ではないという、驚くべき扱いになっているそうです。対価を得て放送枠を提供し、商品販売を行うTVショッピングですら「広告ではない」ということですから、仮に対価があったとしても今回の「サザエさん」のようなタイアップ番組を作るくらいは広告には当たらないはずです。ずいぶん緩やかなのですね。

結局、せっかくのスペシャル回なのだから、単なる行き先紹介だけでなく、もうちょっとまともな話にしてくれればいいのに・・・という、ただそれだけの話でした。

「ショスタコーヴィチ 引き裂かれた栄光」 亀山郁夫

1906年生まれのロシア人作曲家ショスタコーヴィチの伝記本を読みました。ショスタコーヴィチはソビエト共産主義革命と同時代を生き、権力(共産党)に迎合して「社会主義リアリズム」音楽を展開した国家的英雄というように当時は考えられていましたが、この本でも紹介されているように、政治の介入と自身の信念との間で非常に大きな葛藤、ストレスがあったことは確かなようです。

ただ本人は自作について、音符以外はほとんど何も書き残したりしていないので、伝聞や推理が多く、一時期話題になった本人へのインタビューを基にしたという「ショスタコーヴィチの証言」などは偽書の疑いも持たれています。しかし、この本に紹介された多数の研究を読むと、やはりショスタコーヴィチは表面的に権力に迎合したような姿勢を取りつつ、音楽には様々な裏の意味を持たせた「二枚舌」の戦略を取っていたようで、その葛藤やストレスが作品に独特な深みを与えているような気もします。

スターリンは単に政権のトップというだけでなく、コンサートに足を運んだりして、直接芸術に介入しているのは驚きました。芸術家生命というよりは、粛清の嵐で実際の生命すら握られていた状況であったので、想像を絶するストレスであったでしょう。やはり文化そのものから変革しようという共産主義革命ならではでしょう。思い起こせば、中国でも、カンボジアでももっとひどいことがありましたね。

共産党による批判が始まる前の交響曲第四番あたりを聞くと、ショスタコーヴィチは「現代音楽」に対する興味を強く持っていたはずで、「形式主義」という名目での(現代音楽への)批判がなければ、大きく異なる作品が生み出されたのではないでしょうか。「現代音楽」が聴衆の理解を得られなく20世紀後半には退潮していったことを考えると、ショスタコーヴィチの傑作群が残されたのはある意味「スターリンのおかげ」であるような気もします。現代音楽への足枷をかけたことと、限りない苦悩を与えたという二重の意味で。これを言うと怒られそうですが、芸術家は好き勝手にやらせるよりは、極限のストレスの下で作品を絞り出す・・・タイプも多いのではないかと。

あと余計なことついでですが、現在の日本でもクラシック系の作曲で生計を得ている人は(おそらく)いなく、音楽大学の教師になる以外では、いわゆる作曲家という方たちもポピュラー音楽、劇伴、映画音楽などの商業作品(決して二流とは思いませんが)でしか稼げないのではないでしょうか。政治介入は無いにしても、結局自由に音楽を作るというのは幻想に過ぎないのかもしれないと思っています。

著者はロシア文学の専門家で、ドストエフスキーの翻訳で名前を見た方も多いはず。この本ではショスタコーヴィチの音楽の内容にも深く踏み込んで、概ね時系列に沿って作曲時のエピソードや外的要因、そして後世の研究内容も紹介していて、ショスタコーヴィチの音楽が好きな人は楽しめるでしょう。

なお「ショスタコーヴィチの証言」の真偽については結局わからないままのようですが、作曲家・吉松隆によるこちらのコラムが非常に面白いです。

ショスタコーヴィチの証言

サザエさん(フジテレビ) 2026年7-8月放送予定

「サザエさん」の雪室さん脚本作品です。

  • 7月12日 「タラちゃん青と黒」
  • 8月2日 「カツオ身代わり帳」
  • 8月9日 「タマも旅行中」
  • 8月16日 「ハチとタラちゃん」
  • 8月23日 「穴子さんの三日坊主」
  • 8月30日 「中島くんのリボン」

つばめアルペン 聖地巡礼(第3巻)

第3巻はついに登山競技の本番(地区予選)に挑みます。登山競技については第2巻の最後の方に多少解説が載っていますが、登山レースのようにタイムを競うのではなく、採点競技となります。自分は全く競技経験がありませんが、体力がないので絶対無理なやつと思われます。

イチャンコッペ山(828m)

競技1日目は支笏湖畔のイチャンコッペ山です。登っている山がイチャンコッペ山であることは作品中でさらっとしか出てこないので、飛ばし読みしているとどこの山かわからないでしょう。支笏湖や周辺の山の眺めが非常によい山なのですが、この作品ではつばめたちの競技デビューの緊張感と疲労にフォーカスするためか、あえて悪天として景観には全く触れない構成になっています。

 

開会式を行った広場は、登山口でもあるポロピナイ展望台です。柵の奥に見えているのが支笏湖で、対岸の紋別岳、モラップ山が奥に見えています。左にある小屋はトイレではなく、電源施設?のようです。

イチャンコッペ山は標高差約500m、コースタイム4時間ほどで、藻岩山と大差ない難易度なのです。しかし、登り出していきなり標高差200mの急登となり、この日「全装行動」(テント、炊事道具など全部持ち)かつハイペースを強いられた選手たちは体力を消耗します。軽装でゆっくり歩けばお気楽な登山道なのですが。

なんと、自分が登ったときも「ホーホー」というアオバズクの鳴き声が頻繁に聞こえてきました! たぶん初めて聞きましたが、地域と季節が限定される渡り鳥のようなので、こんなところもちゃんと取材して書かれているのですね。

地図テストがあったのは四合目かその次の峠と思われますが、背景から場所の特定は困難でした。

 

わざわざ悪天に合わせたわけではないのですが、自分も何も見えずでした(涙)。なお、三角点のある場所はこの看板のある広場から、ヤブを漕いで50mくらい先になります。木の幹に小さな看板がかかっているのみで、標石は見つかりませんでした。

今回天気も悪かったせいか、誰にも会わなく静かな山歩きでした。登山道に出てきたクロテンも見れました。下山中、四合目のあたりで、近くの高いヤブの中から「ドスン」(大きな物体が落ちる音)「ポキポキ」(小枝の折れる音)と聞こえ、何者かがヤブの中を遠ざかっていくのがわかりました・・・。もちろん審査員ではありません。姿は見えませんでしたが、登山道には登りにはなかった大きな足跡もあり、たぶん最近話題のアレでしょう・・・。

キャンプ場

1日目の夜に泊まったキャンプ場はどことは書かれていませんでしたが、2巻のキャンプ場と同じレストハウスが描かれており、3巻では周辺のリフト施設、照明施設も作画されていたため、盤渓スキー場のキャンプ場と特定できました。

 

盤渓スキー場の案内看板はアニメ絵風で、こんな看板が札幌市内至るところに立っています。

空沼岳(1251m)

競技2日目は札幌市内の本格的登山コースとなる空沼岳に挑戦します。標高差は約900mあり、藻岩山のほぼ倍、コースタイムも約7時間となります。子供の頃に行きたいと考えたこともありましたが、装備や交通の便も含めて気軽に行ける山という感じはしなく、自分も今回初登山でした。

 

ここは登山口の直前にある、登山届を出す無人小屋です。テント泊装備で歩くと、上半身も負荷が大きくて全身筋肉痛バキバキになりますよね・・・。

 

こちらも無人小屋のすぐ先です。板が渡してありますが、場所は若干変わっていました。傾いていて滑りやすく恐いです。この後の登山道は緩やかですが長いです。笹も少し道にかぶってきていて、朝露で服が濡れます。登山道はマンガで描かれていた通りドロドロになっているところも多く、だいたいは木が渡してあったりするのですが、木が滑るんですよね。2回目の徒渉の後、滝の横の道を過ぎると万計沼に到着です。行程としては半分ちょっとといったところです。

 

沼の前にはベンチがあります。この写真だとわかりにくいですが、湖面が反射してとてもきれいです。湿地のような場所なので、ところどころ地面に板が渡してあります。この後、真簾沼を通って、長い道のりが続きます。歩行試験を行った雪渓は、6月下旬には消えていました。

 

山頂の看板は代替わりしていました。写真では雲がかかって見えませんが、つばめの後方中央の山は風不死岳と恵庭岳が重なっていると思われます。

第3巻もよく取材されていることがわかり、とても楽しめました。競技はつらそうでしたが、どちらも景色がよく日帰りで気軽に楽しめる山だと思います。なお、回想シーンに手稲山があることも後で気がつきましたが、まあいいや。

残る第4巻は大雪山系テント泊2泊3日コースになります。行きたいのは山々ですが、腰を痛めて以来テント泊山行は避けているので、これにて聖地巡礼は一旦終了します。あと大雪山はトイレ事情も気が重いのですよね。

アニソンアカデミー26/6/6で「夜明け」

26/6/6(ジダマ誕生日)のNHK FM「アニソンアカデミー 90年代エンディングテーマ大賞」で「あずきちゃん」EDの「夜明け」がかかりました。放送は6/13 16:00まで聞き逃し配信で聞けます。開始後55分頃からになります。

講師:藤津亮太/90年代 エンディングテーマ大賞 - アニソン・アカデミー - NHK

藤津さんの解説は的確で、雪室さんの名前を出して脚本のことも言及しています。一方で司会のしょこたんは中学生編あずきの浮気のことばかりで、アニメになっていない原作の話にこだわってました・・・。

リクエストしてくれた大分県の方、ありがとう。

あと、「あずきちゃん」の同級生、まことくんの声優だった津久井教生さんの著者「ALSと笑顔で生きる。」を読みました。

難病のALSで次々と身体の機能が衰えていき、ついに人工呼吸器が必須となっている状況での出版です。ブログを時々拝見はしていて、津久井さんは持ち前の明るさで立ち向かっているのですが、あまりにも過酷な病気でつらい本ではあります。同じ病気になる可能性は少ないでしょうが、自分も将来身体が衰えてきたときのことを考えておく必要があると感じました。

「あずきちゃん」でのまことくんは、中の人とは正反対の超弱気で、第91話の「うそかまことか!?最後の夏休み」では病気で余命が短いと誤解したり、第21話の「ドッキリ!恐くてうれしい林間学校」では肝試しで気を失ったりしていたのが思い出されます・・・。この点では自分はまことくんタイプではありますね。

女の氏名誕生

近年読んで面白かった本ですが、尾脇秀和「女の氏名誕生」も忘れるわけにはいきません。

夫婦別姓の議論が盛んだった頃、元々同姓というわけではなかったよね、と思って読んだ本です。答を言うと江戸時代の女性に姓はなく、名前のみでした。武家の娘や嫁であっても、です。

それが、明治維新時に国民全員が苗字を名乗る制度に転換した際に、結婚後の女性は「所生(実家)の姓」とするか「夫の姓」とするかで大変な議論と混乱が発生し、明治29年の民法でようやく夫の姓で確定した歴史が詳しく説明されています。

こういった混乱の背景として、男の名前が通常使われる「通称」や「苗字」以外に、古代では血縁や役職を示す「氏姓」や「官名」などが、江戸時代までは複雑に並立しつつ、これが徐々に「家名」となってきた歴史があるようです。男の名前については非常に複雑なので、同著者の別の本「氏名の誕生」をおすすめします。

本では女性名の流行が、○○売(め) → ○○子 → お○○ → ○○子、などを経て現代のキラキラネームに至るまでの変遷も詳しく紹介されていて、読んで面白かったところです。昔は筆書しかなく、識字できる人も限られていたので、異字体や仮名の綴りに対してもおおらかで、漢字の字体を細かく区別するようになったのは明治以降のようです。江戸時代から実印を登録するシステムがあって、名前とは異なる字の印章を使っていたというのも驚きました。

それから、明治になる前までは改名が普通に行われていて、名前=アイデンティティという感覚は薄かったそうです。商家などでは下女の名前は代々決まった名前(通り名)が使われていて、奉公した女性は通り名に改名するというような制度もあったそうです。本名とは別に通り名が付けられるのではなく、通り名が本名になるのだそうです。

現代とは考え方が異なるところが多く、大変面白かったです。

つばめアルペン 聖地巡礼(第2巻)

第2巻は「登山競技」参加に向けていろいろ経験を積んでいくストーリーですが、まだ初心者向きの山ばかりです。

八剣山(498m)

作品での登山口は「中央登山口」です。ここは「八剣山果樹園」の駐車場で、北海道新聞社の「新夏山ガイド1」では登山に利用可能となっているのですが、自分は遠慮して南登山口の駐車場を使用しました。

 

中央登山口の看板はなくなっていました。電柱のトランスもなくなっていますね。

 

このコースの核心、7合目の上の岩場トラバースですが、岩の形も含めて再現度が高いです。手を使って確保しなければならない所もあり、「ヤマノススメ」の三ツ峠のガケよりは少し難度が高いです。つばめの「こんなところ人生で一回も歩いたことない」という気持ちもわかります。さらに上にも岩場があって、実際に転落事故も起きているようなので、初心者や高所恐怖症の方は下りは西口に下りた方がよいでしょう。

 

山頂は大変よい眺めです。見開き2ページの絵は24mmの画角には収まりませんでした。部長の後のぽっこりした山は烏帽子岳と思われます。この写真には入っていませんが、3巻で登る空沼岳(まだ雪山)方面もきれいに見えていました。

盤渓山(604m)

高校登山部の泊まりがけの「登山交流会」で登った山です。交流会の計画書には「会場 三菱山・盤渓山 さっぽろばんけいスキー場」となっており、キャンプ地はばんけいスキー場(夏場は下部がキャンプ場)と思われます。

 

レストハウスの外形は似ていますが、細かいところは違います。ばんけいスキー場が「ban.K」でイメチェンを図ったときに改装したのかもしれません。キャンプ場から見える背景の山の作画も、雰囲気は似ているがきっちり合わせているわけではないようです。

 

登山中の背景画も特徴的な所がなく、途中の三菱山(スキー場のピーク)も出てきません。盤渓山山頂に到着したこの絵から、登りは三菱山経由の「盤渓市民の森(北尾根)コース」だったことがわかりました。ただ、キャンプ場から三菱山へはスキー場を直登したのか、市民の森側の登山口に回ったのかは不明でした。

 

ミヤマスミレもところどころ咲いていました。自分は市民の森駐車場から三菱山に登り、盤渓山登頂後は盤渓川コースを降りました。途中クマの糞らしきものが落ちていました・・・。

塩谷丸山(629.0m)

小樽の山ですが、札幌からでも車なら高速道路で30分くらい、JRなら塩谷駅登山口に直接行けます。

 

これはおそらく部長がJRで単独登山に行ったのでしょう。山頂の見晴台にあるいくつかの岩の一つで、写真で遠くに見える雪山はニセコ連峰です。自分もここでおにぎりを、と思いましたが、陽光で暖まった岩の上は大量のテントウムシがサンバを踊っており、踏み込むのは困難な状態でした。

塩谷丸山の頂上は海の見える展望がすばらしく、この時期は雪をかぶった積丹岳・余別岳、ニセコ連峰、羊蹄山、余市岳、さらに海の向こうに暑寒別岳まで見えて、最高の眺望を楽しめました。

自分は遠藤山、於古発山を経由して天狗山ロープウェイで下山したのですが、ロープウェイ下からタクシーを呼んで登山口に戻ろうと思い、案内看板を見ると・・・

なんと児玉みどりの発生です! どちらを呼ぶか、悩みました。人工衛星のこれから23年が経ってしまいました。(ネタのわからない方すみません)

JAXA|「こだま(DRTS)」と「みどりII(ADEOS-II)」による初めての衛星間通信実験について

今回はここまで。第3巻の空沼岳は、機会を見つけて登ってみたいです。

 

つばめアルペン 聖地巡礼(第1巻)

女子高校生が山に登るマンガ「つばめアルペン」(南文夏、全4巻)の舞台、札幌市にしばらく滞在したので、聖地巡礼に行ってきました。高校の登山部に入って登山競技に参加するというスポ根系の内容ではあるのですが、1~2巻は初心者向きの「ゆるふわ」な山ばかりで特に登山経験は不要です。札幌の方はぜひ巡礼してみてください。

藻岩山(530.7m)

登山部に誘われた主人公、藤井つばめが、部長の引率で新入生3人と最初に登る山です。

 

登山口は慈恵会病院です。マンガでの登山日は5月2日の設定ですが、自分が登ったのは4月半ばで、登山口でも木に葉っぱがありませんでした。5月連休にかけて新緑が急速に出てくるので、やや時期を外してしまったようです。

 

登山道はほとんど柵や階段がないので、この雰囲気はここだけでしょうか。馬の背の少し手前あたりで、倒木の様子もそっくりです。右から曲がって左上に登る道は、実際には数メートル上に過ぎないのですが、マンガでは丘の上に道がつながっていてかなり高低差があるように見せています。

 

山頂直下の急勾配に変わるところです。石の形や木の様子がきっちり再現されていますね。ちゃんと登山道の変化に合わせてストーリーが作られているので、聖地巡礼の満足度も高いです。

 

山頂でジンギスカンを作ったベンチもありました。ベンチ用の石も若干配置が整理されていますが、鴨原部長が足を乗せている石も実際にあって、ちょっと感動。山頂まで観光道路やロープウェイが通っていて、レストハウスもあるような山ですが、登山道の雰囲気も、山頂からの眺めもとてもよく、歩いて登っている人も大変多い山です。

自分は小学校の遠足を含め、歩いて登ったのは10回目くらい? 久々に来てなつかしかったです。炊事道具は持ってこなかったので、スキー場コースを下山して、はなまる寿司でお昼を食べました。

三角山(310.9m)

30分くらいで登れる簡単な山ですが、近ごろは熊が出て一時入山禁止になっていました。単独だと物足りないので、自分は円山、荒井山、大倉山とつなげてみました。

 

写真の右下に写っているベンチに、つばめが座っています。石の形までそっくりです。右上に1巻で登った藻岩山が見えています。登った山が別な山から見えるのって、好きなんですよね。

単行本は品切れのようですが、電子書籍で読めます。

2巻に続きます。

恋愛制度、束縛の2500年史

ここ数年で読んで一番面白かった本が、鈴木隆美「恋愛制度、束縛の2500年史」です。一見人類共通と思われている「恋愛」なるものが、ヨーロッパのキリスト教の下で紆余曲折を経てできあがった複雑怪奇な代物であるうえに、それが日本に輸入されて、キリスト教の基盤のない社会に奇妙な定着をしているというのが、とてもよくわかる本です。自分が「恋愛」やラブソングに感じていた違和感の根源を理解することができ、やっぱりそれは無理ゲーだったと納得したのでした。

著者は仏文学の専門家で、哲学的な内容も多いですが学生レベルにもわかりやすく書かれていて読みやすいです。

内容のメモですが、古代の話は省略して、キリスト教はそもそも性的なものを原罪として激しく敵視する宗教であることが出発点になります。12世紀くらいの中世のフランスで「宮廷恋愛」という貴族の騎士道が起こり出します。これは主君の妻など身分の高い女性に忠誠を誓う精神的な恋愛で、ここから女性を聖母のように扱う神格化が始まり、現代のレディーファーストもこの流れを汲む習慣になっています。17世紀くらいになるとイギリスでこの宮廷恋愛をモデルにした冒険小説、恋愛小説が流行り出し「ロマンティック」と呼ばれるようになります。19世紀になるとこれらの「ロマン主義」がヨーロッパ全体に広がってきます。一方で同じ頃に「個人主義」の思想が広がり、矛盾だらけの社会秩序よりも、本当の自分を発見しそれに従うという価値観が浸透するようになってきます。ロマン主義と個人主義の帰結として、現在の欧米の「恋愛」ができあがってきたわけです。

ロマン主義は小説や、映画や、音楽として「恋愛至上主義」的な形で世界中に拡散されていきました。日本は同調圧力の強い相互依存的な文化土壌を持ち、個人主義的な価値観が必ずしも根底にないところに、「恋愛」は歪んだ形で受容されてきたと言えるわけです。戦後になると大衆文化(小説、映画、ドラマ、歌など)は恋愛一色になっていますが、日本では依存、甘えの要素が多分に入り込んでいることも指摘されています。また、宗教的基盤の無い状態での自分探しの帰結としての「キャラ化」もなるほどというところです。

また、ヨーロッパではフロイトらの精神分析が、性欲や恋愛感情をキリスト教とは別なところから解釈しようとしていることも、この流れを知ったうえで読むと非常にショッキングだったことがわかります。

ともかく、こんなに込み入った背景を持つ「恋愛」を、模倣だけで何とかしなさいと言われることはやはり難題だと言えるでしょう。「少子化」の大きな一因でもあると思います。現在、この関門をクリアした日本人だけが遺伝子を残すことに成功しているので、今後自然淘汰が強く進み、このような問題も自然に解決されていくことを期待したいと思います。

ラジオ停波

NHK AM第二放送が昨日で停波しました。最後の記念に聞いていたのですが、最後の番組は24:00までの「アラビア語講座」、その後5分ほど番組再編の案内放送(いつも流れていた録音)が流れて、最後は「NHKラジオ第二放送です」の声で無音(電波は継続)に移行しました。

今日はずっと音楽が流れていて、3分おきくらいに「NHKのラジオ第二放送は3月30日午前0時5分で終了しました。これまでラジオ第二放送で放送していたほとんどの番組は・・・。この時間に放送していた○○は・・・」という1分くらいのアナウンスが延々と繰り返されています。

第二放送はほとんど聞いていなかったのですが、語学番組がNHK FMの深夜早朝帯に移行してしまったので、BGM代わりに聞いていたFMが使えなくなるのはつらいです。

今まで残念だったラジオ停波は、関東圏の放送大学FM(語学と数学以外は大変面白かった)と、BSのミュージックバードですかね。ミュージックバードのときは何の終了アナウンスもなく、最後の番組が終了後にブチッと電波が切れたと記憶しています。まあ、ネットラジオにこれからどんどん移行していくということでしょうが。

ゲゲゲのアニメ

アニメ版『ゲゲゲの鬼太郎』1期~6期のスタッフへのインタビューを中心にまとめられた書籍『ゲゲゲのアニメ』が1月に発行されています。

 

 

雪室さんは1期、2期、4期に参加しているので、もちろんインタビューが載っています。雪室さんがプロデューサとの人脈で作品に関わっているので、プロデューサの大沼克之さん(1期)、斉藤侑さん(1期、2期)、清水慎治さん(4期)のインタビューも非常に面白かったです。斉藤さんは雪室さんのことを「一番信頼していたライター」と言っていましたし、清水さんの製作記録メモには「11/28 雪室と飲む(18:00~翌03:00) 確か歌舞伎町にて」なんてのもありました。

逆に演出家、アニメーター、声優さんなどとはほとんど関係が無いようで、話題には出てこないですが、傑作回が多いためサブタイトルへの言及は至るところにあります。

原口正宏さんの編集・著作なので、インタビューの内容もポイントをうまく突いていて、内容は大変濃いです。値段は6500円+税ですが、内容を考えると全く高いとは思いません!

なお昨年春に『私の愛した歴代ゲゲゲ』という傑作選が地上波放送されましたが、雪室さんの作品としては『吸血鬼ラ・セーヌ』(1期)、『ギターの戦慄! 夜叉』(4期)、『妖怪復活』(2期)が選ばれていて、どれも傑作でした。自分はリアルタイムで見たのは2期だけなので、当時はムチャクチャ怖かったし、やはり2期の雰囲気が好きですね。

再開します

はてなブログで存続しているようなので、長期停止していましたが、ぼちぼち再開します。

雪室さん情報ですが、週刊新潮26/3/19日号の桂玲子さんの追悼記事(83ページ)で、雪室さんのコメント(桂さん、イクラちゃんについて)が掲載されています。すでに書店では入手できませんが、Kindleなどで読めます。

また、26/3/28の東京新聞朝刊にもインタビューが掲載されるとのことです。

www.tokyo-np.co.jp↑ こちらの記事(有料会員限定)と思います。新聞は遠い販売店に取り置きをお願いしました。追記:東京新聞を買ってきましたが、地方版には記事掲載がありませんでした・・・。

先日、花の苗を売っている店を見ていたら、「あずきちゃん」なる花が売られていました。マーガレットの園芸品種のようですが、「ダークあずき」まであるとなると確信犯でしょうか。よっぽど買って帰ろうかと思いましたが、外植えできない(温度5℃以上)など手強い相手のようなので、あきらめました。

マーガレットあずきちゃん

 

一時閉店のお知らせ

はてなダイアリーの停止に伴い、本「あずき残雪」も一時閉店をします。
コンテンツは「はてなブログ」に移転されるそうです。再開は未定です。今までご来店いただいた皆様に感謝いたします。
最終回記念に「メイドインアビス(後編)」のフィルムを。ラストの伝報船のシーンです。

メイドインアビスの世界には、電話や無線や写真が無いんですよね。だからこそ情報が貴重になり、人は未知にあこがれる。ネットの情報の洪水の中で、自分も情報の価値を見失っているように感じます。