「ラジペディア」でのトーク

今回はかなり短かったですが、「サザエさん」についてでした。私もネタ切れしないのが非常に不思議なんですが、こればかりはマネしてできるようなことではないですね。「もうそろそろ」ってどういうことなんでしょうか…。

2013年5月9日24時〜 FM J-Wave「ラジペディア」
ハマ・オカモト「長く続けるにはどうしたらいいの?」

  • 【スタジオ:(略)その偉大な番組「サザエさん」の脚本を、放送スタート当時から現在まで担当されている、脚本家さんがいらっしゃいます。今も現役でいらっしゃいます。その方は雪室俊一さんという脚本家の方で、「サザエさん」を長年支えている方なんですが、これだけじゃなくて、(中略)。そんな雪室さんに、長く続けるための秘訣を伺ってきました。】
  • [何年くらい「サザエさん」の担当をされているのでしょう。] 番組自体45年続いているんですけど、ちょうど中10年くらい休んでた時期がありますので、35年ぐらい書いてます。
  • [これまでに何話くらい担当を?] もう2000本は超えてますね。あとスペシャルで長いのとかいっぱいあるから、ま、かなり書いてると思います。
  • [イクラちゃんも雪室先生が考えられた] ホントです。原作に名前が無かったので、これからこの子使うときに名前が無いとまずいんで、あれはわりとパッと出てきて、あれは自分でもうまいネーミングだと思ってます。違和感が無くて、いかにも長谷川町子さんが考えたという感じですね。
  • [長く続けられてきた秘訣は] まず健康だったってことですね。シナリオっていうと何か知的労働みたいに思うけど、ちょっと肉体の部分ていうのがあるんですよ。もう、体の調子が悪いときは、ああいう明るい話ってなかなか書けないんですね。まず健康だったということと、あんまり無理しないということぐらいじゃないですかね。だから、僕の場合わりと自由に書かせてもらってるんで、それもあると思います。ストレスがないっていうか。ただやっぱり偶然続いちゃったんですよね。
  • [ネタが尽きたりしないんですか?] んー、何か思いつくんですね。どういうとこで思いつくかっていうと、過去の経験ですか、10年20年前のちょっとした引っかかりが、ふっと出てきたり。ゼロから考えるっていうのは、あんまり無いですよね。
  • [ネタが見つからないときのリフレッシュ方法などは] 考えないことですね。ずーっと机の前にいても、出ないときは出ないんですよ。だからもう他のことをやっちゃうとか、飲みに行っちゃうとか、そうすると何かふっと出てきたり。じーっと考えてて無理に出したネタって、あんまり面白くないんですよね。むしろふっと歩いてるときにひょっと思いついたり、僕が風呂入ってるときによくふっと出てきたり、これはもう、何とも言えないですね。いつ出てくるの?みたいな。
  • ただ、人物をきちっと書くと、やっぱり出てくるわけですよ。僕の頭の中によく言うんだけど、磯野一家がみんな住んでて、こういう話を考えるとカツオはこういうリアクションをして、波平はこうだと、勝手に動いてくれる部分がすごい多いですね。
  • なんかあんまり大上段に振りかぶったり、だいたい失敗するんだよ。ごく普通のペースで、調子が悪いときはあんまり書かないとか、そういう感じで。特に「サザエさん」って普通の話ですから、普通が一番なんですね。そんな大きなドラマが無くても、小さいドラマを書いていきたい。何気ないけど、ずしっと心に残るような話が書けたらいいなと思ってます。
  • 【スタジオ:お年で判断するのも何ですけど、ものすごい、全然歳が感じられないです。お若いですよ。ちなみに中島くんもこの方が命名したんです。たまたま当時「11PM」の構成をされていて、バンドのメンバーに中島さんという方がいて(中略)。】
  • 【スタジオ:「よそ見する」っていうこともおっしゃってて、この方、ひねくれてて、人が正面から考えないようなことをいつも見てきたと。雪室先生にどの作品が印象深いですかって聞いて、2000話の中からこのエピソードをおっしゃっていただいたんでお聞きください。】
  • サザエの結婚式のときに、波平が泣いたか泣かないかと。カツオが「泣いたんじゃないの意外と涙もろいから」「いや、ワシは絶対泣かん」。「それじゃ、泣いたという証拠が出てきたら、何でも好きなもの買ってくれる」って言ったら、「おう、何でも買ってやる」。カツオはすごい不安になっちゃう、こんな自信満々に言われて。
  • それで当時の写真をノリスケがいっぱい撮ってたっていうんで、これをチェックしたけど、みんな誰も「いや、泣いた姿は見たことない」と。ところが、ノリスケがずっとチェック「おっ、見つけたぞ!」ってもう、涙ちょちょ切れんばかりに泣いてる写真を、式場で。それでカツオ、「やった!」って言って、波平のところ「そら父さん」って言ったら、「これはワシじゃない」っていうのは、双子の海平。それで、がっくりしちゃって、約束としては「もし泣かなかったら、お前成績悪いから、毎朝学校に行く前1時間勉強しろ」。
  • 冬の話なんで、朝寒いときね。カツオが白い息吐きながら勉強してると、お母さんが来て、「実は父さんは泣いたんだよ」とそっと教えてくれる。ところがそれは結婚式じゃなくて、お前が生まれたときだと。というそういう話。いい話。
  • 【スタジオ:ホテルのラウンジで聞いて泣いてしまいました。「父さんが泣いた日」っていうタイトルで、2005年くらいの作品です。本人は「もうそろそろかな」とおっしゃるんですけど、ずっと続けていただきたいと思います。】