「アニメーションと仮現運動」研究会の記録

昨夏にこちらに簡単にレポートした「アニメーションと仮現運動」研究会ですが、
アニメーションと仮現運動 - あずき残雪
主催者の吉村先生(法政大学)が詳しい記録をまとめて公開されています。アニメーションの動きに興味のある方にとっては非常に面白いと思いますので、大変オススメです。
↓こちら
http://www.i.hosei.ac.jp/~yosimura/record20130825.htm
テキストだけなので、現場で映像も見ながら聞いたのとは違い、わかりにくいかもしれません。少し補足すると、

  • (1)(2)は研究会の発端になった問題提起です。アニメーションの原理としてよく言われている「残像説」は間違いなのではないかといった疑問です。また「間欠映像」というのは、コマ間にある真っ黒な映像(ISI)による非連続な画像呈示のことです。動いて見える原理が「残像説」でも「間欠映像説」でもないとしたら、よく言われる「仮現運動」とは何なのか?
  • (3)(5)は映像研究における「動き」の研究の紹介です。静止画の連続呈示が動きとして感じられる「仮現運動」の考え方が説明されて、動きの少ない場合のSRAM(短距離仮現運動)と動きが大きい場合のLRAM(長距離仮現運動)の2つに分けるべきという考え方も紹介されています。映像例なしではわかりにくいと思います。発表資料がhttp://www.i.hosei.ac.jp/~yosimura/pdf/2013.8.25.pdfにあります。
  • (4)は信号処理の分野から映像のコマ表現を工学的に論じたものですが、標本化定理を知らない人にはわかりにくいと思います。「動いて見える」という問題が、信号処理で説明できる純粋に物理的なもの、人間の目の画像センサとしての能力によるもの、脳の心理的作用によるもの(仮現運動?)の3段階に分けて考えるべきというのが重要なところです。
  • (6)(7)がアニメを作る側からの経験的な作画の話です。アニメファンの人はここだけ読んでもすごく面白いはずです。