サザエさんのボツ作品発見?

昔中野のアニメショップで「サザエさん」の古い脚本(ガリ版の冊子)を何冊か買ったのですが、その中に不思議なものがありました。いえ、今まであまり何とも思っていなかったのですが、最近調べてみてその不思議さがわかってきました。

おそらく「#766A」というのは、第766回の放送で、Aパートという意味だと思います。766回÷52週=14.7年と計算できるので、1969年10月が第1回から数えると1984年6月頃の放送となりますが、1984年6月24日は日曜日で「6/24」とぴったり合います。すると同じ「#766A」が二つあるってのはどういうことなのでしょうか?
この頃の放送記録はこちらのサイト
http://www.tcn.zaq.ne.jp/akanw903/sazae_top.htm
にまとめてあるのをありがたく参照させていただくと、

  • 作品No. 2279 カツオ宅急便 雪室俊一(放送日不明)

が対応すると思われます。しかし、近くに「イクラYとN」に対応しそうなサブタイトルはありませんでした。
なお、作品No.が異なるのは、脚本冊子に書いてあるものが「制作No.」、放送時に付されるのが「作品No.」のためと推測しています。今年ようやく制作No.と作品No.の統一が図られましたが、それまではかなりずれていました。この「ずれ」は制作の前後だけでなく、ボツ脚本の存在も示していたのではないかと想像しています。
結論を急ぎますが、この「イクラYとN」はボツになった脚本なのではないでしょうか。というのも、この脚本、「パソコン」が出てきて「YとN」はパソコンの「Yes, No」なんです。いかにも、「サザエさん世界に合わない」と言われてボツになりそうです。

カツオは西原のパソコンでYとNを入れるだけで答えが出る体験をします。

それを磯野家で話したところ、「ハーイ」と「バブーン」しか言えないイクラちゃんと同じ…ということでイクラちゃん&コンピュータ話に発展します。しかし、このページの会話、家族7人全員がたたみかけるように話していて、よくある風景なんですけど文字で見るとすごいですね。そしてこの話、放送されていたら傑作選に入れてもいいくらい面白い話だったと思います。作品No.から推測するとボツ脚本は100本近くあると思うので、ウワサの三谷幸喜さんのやらも含めていつかボツ脚本作品集を出してほしいです。まあ、無理でしょうが。
余談ですが、1984年というと「とんがり帽子のメモル」でも雪室さんは「マイコン人形」というセリフを書いており、1950年代風?の世界観と合わないとあちこちで言われていました。アニメ様もこちらに書いています(笑)。
WEBアニメスタイル | アニメ様365日 第197回 『とんがり帽子のメモル』32話、35話
1984年というとNECであればPC-8801mkIIやPC-9801が発売された頃で、マイコン百花繚乱の時代でした。雪室さんはいつも「現代」のつもりで作品を書いていたんだなという感じがします。