「あずきちゃん」第22話 もうひとつのプレゼント

あずきの誕生日回で、勇之助にプレゼントをもらうというのが、この話のメインテーマです。

原作では実質、エピローグのこの1コマしか対応するところがなくて、プレゼントが定期入れであることは後でわかりますが、あずき色であることは書かれていません。また、塾通いのシーンは全く描かれていませんでした。このプレゼントをもらうラストシーンに向かって、アニメオリジナルのストーリーが驀進する、見応えのある話です。

勇之助といっしょに受講できるからと、ルンルン気分で塾に行ったあずきでしたが、帰りは沈んでいます。勉強で疲れたわけではない、というのがあずきらしいところ。

塾の話と並行して、まことや、かおる、ケン、だいずなどもストーリーにからんできます。ここだけで、おなかいっぱいになりそうな充実度で、特にケンが風邪気味のかおるのために、ギョウザを持ってきてくれるところは、名シーンだと思います。
塾であずきのツインテールがまことを攻撃するところも、何度見ても面白いですが、これは脚本ではなく、演出の桜井さんのいたずらではないかと思います。

さらに塾で席がとなりになる、みのりちゃんの登場で、ストーリーはぐぐっと複雑に。4年生なのに上級のクラスに通っているという、誕生日とは全く関係のないキャラクター設定ながら、話にすっかり溶け込んでいて、よいゲストキャラでした。みのりちゃんは、第72話でも模擬テスト会場で再登場します。ケーキ屋の店員さんもいつものメガネっ娘店員さんですが、声は両者とも亀井芳子さんです。

あずきが風邪で休んでいるとき、勇之助は実は野山家に電話したのではないでしょうか。上のように、勇之助が公衆電話に気づいたシーンが描かれた直後、みのりとあずきが電話で話すことになって、さらにあずき母に電話がかかってくるという、家の電話がずっと占有されている描写が出てきます。勇之助は電話したけど話し中で通じなかった、という意味なんだと思います。

ようやく、タコの中での二人っきりのハッピー・バースデー。タコ公園のタコの中というのは原作かと思っていましたが、あらためて比較してアニメオリジナルであることが確認できました。記憶に残るシーンではないかと思います。
そして、名前の出ないスタッフでしたが、実は全話のエンディングイラストを描いていた大物・平田敏夫さん。25日にご逝去という悲しい報せがありました。なぜ名前を出さなかったかは、DVDのブックレットにインタビューが出ています。毎週、ステキなプレゼントをありがとうございました。