「あずきちゃん」第114話 10年どころか

「盗作はダメ!」というのがこの話の表向きのテーマだとしたら、「10年経っても忘れられない絵がある」が裏のテーマでしょうか。「あずきちゃん」は20年経っても忘れられない(一部の人に?)作品となって、まさにこの話を体現してしまったわけですが。
DVD-BOXのブックレットに、この話は元々12月8日放送の予定だったのが、11月18日の放送休止の影響で他の回の季節がずれないように、2月24日放送に変更になったことが書かれています。本来は第104話になるはずだったというのは小さい豆知識です。


火災予防ポスターを描く話なのですが、平凡なあずきとかおるちゃん、ちょっとセンスあるヨーコちゃんと勇之助と、美術の方もうまく書き分けています。そして問題の発端になるのが、まことのポスターで…

満塁軒火災のポスターは怒ったケンに破かれてしまいますが、さすがに誰もまことの味方になってくれる人はいません。そして翌日までに新しいポスターを作らなければいけないまことは、盗作に手を染めることに…。

このへんから、消防署やまことのお姉さんもストーリーにからみ出します。同じポスターねたということか、夢少女のポスターも登場します。

珍しいキャラクターが活躍したうえに、最後は伏兵であずきのお父さんが登場。話をしっかり締めてくれました。と思ったら、ラストシーンはだいずネタだったのでした。

今回も一見、普通に面白くて単純な話にしか見えませんが、冒頭を避難訓練にして、まことを一躍主役に引き立てたり、盗作ポスターをめぐる二転三転のストーリー展開、ラストの締めまで見事な構成だと思います。最初にあずきのアイロン火災のポスターを見て、だいずが「ドジなポスター」と言っていたのが、ラストの伏線になっていますね。「火事は110」とか、「消防署が火事」とか、だいずの「ノックして」とか細かい台詞回しも神がかっていて、実はシリーズ中でもかなり完成度の高い脚本なのではないかと思います。まことが主役にもかかわらず(笑)、工作精度の高い部品がきっちり組み上がったような印象を感じる作品でした。