「あずきちゃん」第49話 超オーバースペック配役

あずきちゃんAT-X再放送が2期に入り、はや10話。ストーリー上のいろいろな試行錯誤が行われているように感じます。サブキャラ路線は1期から引き続きうまくいっていて、こちらは大成功。てこ入れのはずだった?香月先生は、いまいちストーリーにからんできません。一方、1期で関係の進化したあずきと勇之助がいちばん難しいところです。結合が強くなった2原子に変化を与えるためには、温度を上げたり、紫外線を照射したりと、より大きなエネルギーをぶつけてやらなければいけないのです。
原作中学生編はその極端な例でしょうが、第47話の東条先輩もその路線でしょうか。これは正直あまりうまくいかなかったと思います。かくして、やはりその役目はヨーコちゃんが担うことになります。しかし、二人の関係が揺らぎにくくなったために、「雨降って地固まる」結果となることが必然で、ヨーコちゃんは2期から3期とピエロ役に変貌することになってしまいます。この第49話は、その走りとなった話ではないでしょうか。

第49話は、リコーダーの話なのです。

リコーダーを演奏しているのは、リコーダー奏者の吉沢実さん。なんと、ホームページのプロファイル(リコーダー奏者 吉澤実 プロフィール:Recorder Homepage Japan)の活動歴にちゃんと「あずきちゃん」を記載してくれています。小学生の演奏にこんな大物を呼んできてしまうというのは、後に劇場アニメ「ピアノの森」を作ったときにアシュケナージを呼んで来ることになる小島監督らしい…ですね。いずれにしても超オーバースペック(笑)です。「天才音楽家」を登場させるのは脚本の御法度とされているらしいので、脚本の段階では「リコーダーなら学校で習うし、スタッフの誰かが適当に吹けるだろう」と思って書いたのではないかと想像しています。
元々演奏する曲が「歩こう」だったのかどうかはよくわかりませんが、「歩こう」はロ長調(怪しい)で低いシの音が入るので、ソプラノリコーダーで演奏するにはオクターブ上げなければなりません。さらに#が5個ある音階なので、小学生には相当困難なはずです。勇之助はこれを見事に吹き上げたうえに、低音パートは初見で吹いてしまいました。ちなみにリコーダー版の「なにかいいことが」の「に」の音は、原曲から半音違っているような気がするのですが。

あずきが自宅で練習している「歩こう」はヘ長調(怪しい)に移調されていて、吹きやすくなっています。これは勇之助の演奏を際立たせるためだったのか、あるいは(下手な演奏でいいならということで)後で他の人が演奏しようと思ったら、全く吹けなかったのか、どちらかではないでしょうか。ちなみに、4年生の回想シーンのリコーダー版「ちょうちょ」も一般的なハ長調ではなくヘ長調に移調されていたりして、音楽的にもいろいろ謎多き回です。

あとはよもやま話ですが、あずきがだいずを追いかけているシーン、前半2コマ、後半1コマ作画です。1コマ作画はかなりレアですね。入浴シーンが、どうしても「脳移植手術を終わって、薬液浴かなんかに浸かりながら、新しい体をまじまじと見てる人」に見えます。

楽器店の店員さんは芦野さんのセルフ・キャラデザ?

タコ公園の二重奏のシーンでも360度回転していますが、勇之助の部屋では、室内での180度回り込みという、結構凝った作画をしています。絵コンテ・演出の坂田純一さんが、回すの好きなんでしょうか。


小学生でリコーダーがうまいのはいいんだけど、こちらは許すまじ(笑)。