「あずきちゃん」第50話 飛行機墜落から火山爆発に

1期では勇之助が家に来るだけでドキドキだったあずきでしたが、今回は大胆になり、両親が不在のときに勇之助が家に来て、いっしょに朝食を食べて学校に行くというのがメインストーリーです。ヨーコちゃんはこれを見て、あらぬ想像までしてしまう完全敗北でした。

雪室さん、デビュー作の実写映画「あいつとの冒険」(1965年、日活)からして、高校生の男女がいっしょに旅行をして、最後はホテルに泊まるという、ちょいエロ作品だったので、この手の展開は元々好きだったのだと思います。映画界で成功していたら、後の日活ロマンポルノあたりを書いていたりしたかもしれません。この資質が生きたのが「Theかぼちゃワイン」と言えましょう。
それはともかくこの第50話は、比較的単純なメインストーリーに対して、付け加えられるサブストーリーの物量がものすごいことに注目して見ると楽しい作品です。

まず、いきなりあずきの夢から始まりますが、父親がロープを付けずにバンジージャンプをするというとんでもないもので、その日沖縄に飛行機で出張する父への不安感をかきたてるものになっています。予知夢でないかと不安になるあずきに、「飛行機は車より安全」と言っている母の顔が引きつっているのは、父の運転する車が安全でないことを知っているからでしょう。さらに、仙台のおばさんがはしごから落ちて入院するという夢の回収で、母が看病に行くことになり、両親の不在という舞台の起点がようやく準備されます。ここまででも、十分におなかいっぱいです。

だいずと二人で留守をすることになりますが、だいずのスタンドプレーで笑うのはお約束です。

エビフライを持った勇之助が夕食を食べに来るという約束をしたので、あずきはカレーを作りますが、♪カレーのライスを炊き忘れ〜(笑)。このネタは第99話と混同していましたが、シリーズで2回あるんですね。

しかし、もう一つのお約束で、おじゃま虫のケンとまことが夕食を持ってやって来ます。両親の不在を知ったケンなりの優しさでしょうが、あずきにとっては大迷惑でしょう。

一方の勇之助は、いつになっても来ませんでした。勇之助から連絡がなかったり、ケンが無断で料理を持ってきたりした原因として、コードレス電話がだいずの部屋に放置されていて、ずっと不通のままだったことがわかります。このあたりの「情報の遮断」を使う技も面白いところです。だいずの部屋のシーンは、結構珍しいかも。

さらには、隣の小林さんのネコ乱入。これもどうでもいいようなエピソードですが、翌朝あずきが起きれない布石となっています。ちなみに、AT-Xで「みかん絵日記」も見ていますが、なかなかよいです。

というわけで、残り5分で「勇之助くんがお嫁さん」のメインストーリーにようやくつながるのでした。
間延びしたテンポの悪い作品が許せないのでしょうが、それでもこれだけのネタを物量投入するのは相当の在庫と力量を要求されるはずです。すごい!と思わずにはいられませんでした。
この話、放送前に国内で飛行機事故があったりしたら、放送延期になったかも?と思ったりもしますが、次の第51話も、火山災害があったら大変です。

しかし、よく考えてみれば東京MXで再放送中の「キテレツ大百科」の「お料理行進曲」OPは、御嶽山噴火のときも放送されていましたね。考えすぎはいけませんね…。