「あずきちゃん」第110話 オランウータン カバ ヒト

よく子供たちの親が出てくる「あずきちゃん」ですが、クラスメイトの相手家族との関係が描かれている作品も、第24話(勇之助−あずき祖父)、第29話(勇之助−あずき父)、第77話(あずき−勇之助母)、第106話(ケン−かおる父)と結構あります。まこと−トモちゃん父の関係が主題になるこの話も、第106話と構図が似ていて、ストーリーは全く異なるのですが、双子のような作品という個人的印象です。
トモちゃんの両親は原作には出てきませんが、アニメでは母親が既に家庭訪問のときに登場しています。しかし、優しそうな母親で、まことと組み合わせても面白くなる感じではありませんでした。今回は逆に厳しく気むずかしそうな父親を登場させることが、ドラマの起点になっています。

そして、まことがオランウータン似で、母親を亡くして弱っていたオランウータンの子(マギー)に好かれるというプロットを思いついたときに、この話の骨格が完成したのではないかと思います。

動物園に勤める獣医のお父さんは、具合の悪い動物が多くて家にほとんど帰れません。トモちゃんはお父さんにお弁当を届けるときに、まことを連れて行って紹介しようと思いましたが、急患続きでお父さんはそれどころではありません。まことはあいさつすらしてもらえなく、すっかり嫌われたと思います。

しかし、弱っていたマギーがまことになつき、元気になってきたことで、まことはお父さんに気に入られたかのようでした。その一方で、お父さんはまことの名前もちゃんと覚えていなく、おそらくまことのことを「動物に好かれる子」くらいにしか思っていない様子です。この話の中では、娘のボーイフレンドとはまだ気づいていないでしょうね。なかなか恐ろしいリアリズムです。日アニでないのにアライグマも登場。


そして、そんなメインストーリーだけで終わるわけがないのが「あずきちゃん」で、年老いたカバのミドリの話からジダマのおばあちゃん行方不明事件が起こったり、オランウータン死亡事件が起こったりと最後まで息をつかせません。「深さないで」は「サザエさん」「キテレツ大百科」でも出てきましたね。
カバのミドリのモデルは、長寿で子だくさんだったということから名古屋東山動物園の「福子」でしょう。ちょうど脚本を書いていたと思われる本放送数ヶ月前の97年8月に死去したということなので、案外こちらが話を作るきっかけだったのかもしれませんが…。
http://www.higashiyama.city.nagoya.jp/17_blog/index.php?ID=1811
カバ、オランウータン、ヒトとどれも親子関係の話になっているのは偶然でしょうか?

あとは、かおるちゃんを動物園に用事で来れない設定にして、最後に顔を出させる演出が心憎いです。あずきは今回はサブキャラ(笑)でした。
3期の君塚作監はこの回だけで、久々に見た感じがしました。1期のような作監による差異はなくなっていますが、ところどころ君塚さんにピンときました。