永井一郎さんを振り返る

永井一郎さんは波平さんの印象が強かったですが、調べてみると雪室脚本作品にもかなりたくさん出演されていたことがわかり、今日は追悼の気持ちで押し入れのDVDを引き出してきました。しかし、永井さん、本当に脇役ばかり。ゲストキャラも多いのですが、膨大なので今回はやめました。

ピュンピュン丸(67年)

ゲストキャラでほぼ毎回出ている感じでした。画像は「ニコニコ忍者だよーん」で、泥棒に入られた代官の役。高めのコミカルな感じの声でした。
もーれつア太郎(69年)

作中で亡くなって幽霊になった、ア太郎の父ちゃんの×五郎が永井さんでした。ややダミ声に変えた高めの声です。本当に白い輪郭線だけになってしまったんですね。
さるとびエッちゃん(71年)

話のできる、お供の犬?のブクが永井さんです。変えた声でコミカルな感じの大阪弁で演じられています。ED曲は一部の話で永井さんバージョンになってるそうです。
おんぶおばけ(72年)

おんぶが居候している鍛冶屋のおじいが永井さんです。今回聞いた中では波平さんに最も近い感じでした。作中の昔話の語りは、本当にすばらしいです。ちなみにこのDVDは、売り物としてはワースト級の画質で、文字がほとんど読めません。
バビル2世(73年)

国家保安局の局長が永井さんです。声の質は同じなのですが、コミカルさの無い、仕事の声なので印象がかなり違います。
星の子チョビン(74年)

森の仲間たちのうち、カエルのアカベエが永井さんでした。変えた声で、とぼけた感じで「〜ごじゃる」が口ぐせです。森の仲間はクマンどんとうさタンの3人組が味があってよかったです。
マシンハヤブサ(76年)

レースカーの研究所の親分の、西音寺博士が永井さん。見かけは変人っぽいですが、至って真面目で冷静なキャラクターで、高めの声ながら抑えた調子で演じています。
若草のシャルロット(77年)

DVDが出ていないので、CS放送の録画しかありません。シャルをいつも近くで支えてくれていて、星を見るのが好きなメルビルさんを、永井さんが演じています。落ち着いた波平さん、といった印象でしょうか。
がんばれ元気(80年)

元気の母方の祖父の田沼樹三郎が永井さん。金持ちの利己的な老夫婦として、軽薄な調子で演じていますが、最初は元気の父と対立する存在として、その後は孫に目のない祖父としてと、徐々に役回りが変わってきます。久々に見ましたが、作画や演出も力作で、また通して見直したくなりました。
とんがり帽子のメモル(84年)

メモルの友達のポピットの父で、音楽家のフォルテンさんが永井さんです。芸術家らしい高い声で、コミカルな感じです。なんと、ゴロニャン体操の歌を歌っているのも永井さん。猫に襲われたら死んだマネをしなさいという歌なのですが、「♪死ねば幸せやってくる〜」とか、今聞くと変な意味に聞こえてしまいます…。

以上は全て、雪室さんの脚本参加作品でした。雪室さんの関わっていない作品では、ガンダムのナレーション、チエちゃんの小鉄ど根性ガエルの町田先生、うる星やつらの錯乱坊あたりが記憶に残っています。

いろいろ見直してみて、だれ一人として同じ演じ方でないのがさすがです。声質だけでなく、話し方のトーンなどがみんな違います。私が声優の名前に疎いせいもありますが、「永井一郎」としてでなく、それぞれのキャラクターとして記憶に残っているのは、そのせいですね。でも、波平さんは期間が長いせいもあるけど、突出して演技の幅が広いです。威厳のある父だったり、軽薄な酔っぱらいだったり、感情的だったり、冷静だったり、コミカルだったり、思い返すとすごいです。後を引き継ぐ人は大変でしょうが、がんばってください。