「ハヤカワさんの駅」(「サザエさん」作品No.7094)聖地巡礼

「ハヤカワさんの駅」(「サザエさん」作品No.7094、2014年4月13日放送、脚本:雪室俊一、演出:村山修、作画監督:西阪晃子、仕上:千代間由佳、美術:佐藤博)のロケ地、早川駅周辺に行ってきました。5月に行こうと思っていたのですが、腰を悪くして動けなくなり、2ヶ月遅れとなってしまいました。

早川駅東海道線で東京から各駅停車で90分前後、小田原のすぐ隣駅になります。ちなみに作中で話題になっていた「花沢駅」「大空駅」はおそらく存在しないと思います。

このタイトル場面の駅のホームですが、右に海があることから東京側の端のはずです。現実にはホームも景色もごちゃごちゃしていますが、遠方に低い山(国府津の高山、不動山あたり?)があり、近くに海と灯台があることは共通しています。灯台は絵とは違ってもっと右側になり、距離もすぐ近くです。

早川駅は、ハヤカワさんが「かわいい駅ね」という通りの小さな駅で、ほとんど現実そのままに作画されています。

駅の内部の改札もほぼ実物通りで、Suica改札になっています。サザエさんの年代設定が現代であることがわかりますね。奥のポスターや禁煙表示なども、全く同じではありませんが掲示されています。

駅前は、国道135号線と隣接した小さなロータリーになっています。右側に見える赤い屋根は「くるまやラーメン」で、左の建物は作画では「・・建設」とありますが、実際にはかまぼこ屋さんと空オフィスでした。街灯は現実そのままです。街灯の下の看板は「早川・片浦ウォーキングトレイル」という散策路の案内板でした。

駅前には波平とフネが見張っていました。カツオとハヤカワさんが二人だけで行ったら、ぎょっとしたと思います(笑)。

波平とカツオが釣りをしていたのは、この短い埠頭(写真の右下)と思われます。堤防に囲まれた波の静かなところで、実際に釣りをしている方もいました。堤防の先には小田原提灯を模した赤白の灯台があります。上に走っているのは西湘バイパスの高架で、港の部分は吊り橋構造になっています。

埠頭の先端から駅方面を振り返ると、漁船を上げる船着き場?と水揚げ場?があることや、西湘バイパスの橋脚が立っていることからも、ピンポイントで特定可能でした。一方、後に描かれた商店と似た店を見つけることができなく、また、あったとしても港からは直接見えませんでした。

航空写真で見るとこのようになります。左の○が駅で、右の○が釣りポイントです。波平が釣りをしていた場所は駅から最もすぐに来れるところなので、ハヤカワさんが突然来ても会うことができたのは自然です。しかし、他にも釣りポイントはあるので、ここにいなければ会うことはできなかったかもしれませんね。

南西方向の背景はこのようになっていて、まず、西湘バイパスの曲がり方がほぼ同じですし、背景の山も真鶴から星ヶ山、白銀山に通じる尾根と思われますが、だいたい正確です。この写真は波平が釣りをしていた埠頭から撮影しています。写真に写っているのは隣の埠頭で、立ち入り禁止になっていて釣りはできません。

ハヤカワさんが駅から走ってくる西北西の方向はこのようになっていて、おそらく明星ヶ岳と思われる背景の山がそっくりです。街並は全く違っていますが、太陽がちゃんと西に沈むということは重要です。太陽の視直径が大きすぎる…ことを気にし出すと古今東西あらゆる絵がNGなので気にしないことにします。
この話はスペシャル版などではない普通の短い1話であるにもかかわらず、しっかり現地取材して作画されていることがわかりました。キャラクターと同じ名前の駅名や地名などにオタクが反応してしまうというのはよくありますが、それをネタに作品1本を作ってしまうというのは結構珍しいのではないでしょうか。元になった原作は「釣りに行く波平がお釣りをもらい忘れる」というところなのに、全然違う話になっているのも面白いです。