「あずきちゃん」第43話 おばあちゃん捕獲計画

この話を見たときには、ぜひ雪室さんのコラム
WEBアニメスタイル COLUMN
を読んでいただきたいです。「ジダマが大泣きする話を絶対に書こうと思い」「ジダマのおばあちゃんは最後まで画面に登場しない」というのが、まさにこの話です。
話の中心になる人物が全く姿を見せないのに、十分な存在感を発揮し周りを振り回すというのは、かなりアクロバティックな脚本だと思いますが、見ている人はあまりそんなことが気にならないのではないでしょうか。ほぼ同時期に放送された「新世紀エヴァンゲリオン」は「人類補完計画」などを謎にして見ている人を惹きつけていましたが、一方の「あずきちゃん」ではジダマのおばあちゃんがひた隠しにされていたという…。


AT-X再放送は2期になり、全体に画像が明るくなりすぎています。1期と同条件でキャプチャしたものです(左が1期、右が2期)が、もうちょっと何とかしてほしいです。


さて、あずきの部屋に突然、家出したジダマが忍び込んできます。原因は、おばあちゃんとの他愛ないケンカがこじれてしまった様子です。

とばっちりを食ったのはあずき。家族に内緒でジダマをかくまうことになったうえに、変な夢を見る羽目に。

いったんベランダから外に出て、何気なく玄関から訪問し、朝食までいただいてしまう、ちゃっかりしたジダマですが、その日の夕方にはばれてしまいます。この辺りで前半3分の1くらいです。
ところが、ここから話は一転、ジダマのおばあちゃんが対抗して家出して、ジダマは探される側から探す側に回ります。

話はおばあちゃんを探す推理ものになりますが、ヒントになるのが満塁軒のチャーシューワンタンメンだったり、自動車教習所での目撃情報だったりと、これが「ジダマのおばあちゃん」の性格の表現にもなっているんですね。ジダマのおばあちゃんの居場所がわかるヒントであると同時に、姿を見せない人のイメージを、間接的に作り上げています。そもそも、ジダマの性格自体が、おばあちゃんの性格の投影でもあるので、ジダマの表現がこの話では二重の意味を持っているわけでもありますが。

勇之助もなぜか、この話に巻き込まれていたのでした。ウソのつけない勇之助の困った表情も見どころでした。

最後にジダマはおばあちゃんの居場所を突きとめますが、実は追い詰められていたのはおばあちゃんではなく、むしろジダマの方だったのです。ここはキャプチャ画像では絶対に表現できない名シーンなので、ぜひ見てみてください。
登場しない主役、主客の転倒と、結構すごいことをやっているのに普通に見られてしまう、そんな名作です。
【追記】
りんすさんのご指摘通り、DVDでキャプチャしたら以下のように2期(右)が明るくなっていましたので、オリジナル通りでした。

AT-Xさん疑ってごめんなさい!