恐怖 猛暑でセル画が溶ける?

昨日「世界名作劇場展」を見に行ったので、帰宅後自分のセル画コレクションを見て余韻にひたっていたのですが、溶けてしまっているセル画を発見しショック!

重ねてあるセル間や、ビニール袋との間に液体と気泡が充満し、セルは波打っています。絵の具は多少溶けているものもありますが、一応無事。トレス線は消えかかっています。ホチキスが真っ黒に錆びています。

拡大すると、絵の具も結構ひび割れていてダメそうです。気泡部分には液体の露がたまっています。
調べてみると、正確には溶けたわけではなく、セルの材料である酢酸セルロース(トリアセチルセルロース)が加水分解して酢酸が出てしまう、「ビネガーシンドローム」と呼ばれる現象のようです。たしかに、ひどい酢酸臭がしますし、金属が錆びるのもわかります。古い写真フィルムの保存で問題になっている現象らしいですが、セル画にもこんな問題があるとは知りませんでした…。
緊急に全セル画をチェックしたところ、比較的新しい「あずきちゃん」にも1枚同様のセルを発見。高温多湿がよくないようです。紫外線には注意していたのですが、温湿度管理はこれからどうしようかと思案中…。
【8/10 酸っぱい大作戦編】
いろいろ調べてみると、既に写真フィルムで大きな問題になっていて、起こる条件などもかなりはっきりしている様子です。
Cellulose acetate film - Wikipedia
通年で温度21℃、湿度40%ってのは、でも個人レベルではほぼ無理ですね。
とりあえず、酢酸と湿気を少しでも抜こうと思い、クリアファイルから1枚ずつ取り出し、扇風機の風に当ててみました。風を当てると数秒で、よれよれした感じがなくなっていったり、片面にカールしていったりするので、少しは乾燥してくれているのではないかと希望的観測。
それから、1枚だけのセルはほとんど酢酸臭が出ていませんでしたが、複数枚重ねてあるセルの、セルのすきまが特に酢酸臭が強いです。枚数分当然酢酸も多く出てきますが、逃げ場がない状況も悪いのだと思います。重症化した2点も、複数枚重ね合わせものでした。しかし、貼り付いたセルははがすのが困難なので、ホチキスは外し、間にできるだけ風を入れてみました。あと、買ったときの袋に入ったままのものは、全て出しました。
手袋着用で半日、土日と作業して、ようやく半分くらい完了。こんな対策で何とか持ってくれるといいのですが…。