「あずきちゃん」第65話 運動会キャラデザ地獄

この第65話は、仮装行列でヨーコちゃんが自爆する話という印象でしたが、まじめに見てみると例によって意外と複雑な構造をしているのがわかってきます。

秋の町内運動会という時節イベントもの作品ではあるのですが、ストーリーは「親子二人三脚」と「仮装行列」の2つが並行して進むことになります。両方に参加するはめになったあずきも2つの話を行ったり来たりになるのですが、それでも話が全く散漫になることがないのはさすがです。そして、この二重らせんの間をつないでいるのが、あずきのお父さんになるわけです。

勇之助くんは今回、結構とばっちりを食う側になりますが、メインストーリーの間にはさまるこういった小ネタも楽しいところです。ジャンヌ・ダルクと「坊ちゃん」のどちらが古いかも話題になっていましたが、調べてみるとジャンヌ・ダルクは15世紀の人で、「坊ちゃん」より圧倒的に古いのですね。正直、フランス革命の「自由の女神」の絵とごっちゃになっていました…。

結局、あずきが坊ちゃん、かおるちゃんがマドンナ、ジダマが坊ちゃんの乳母役となりましたが、これが「坊ちゃん」の仮装行列だとわかる人は松山の人くらいでしょうか(笑)。




今回は運動会ということでモブキャラが大量に出てくるうえに、仮装行列の出し物まであるのですが、何だかものすごくちゃんとキャラデザされていて、しかも動いているシーンも多いという、本題とは関係のないそんなところに感動してしまっています。最近のアニメの記号化されたモブや、明らかにコピペとわかるモブには正直拒否反応が出てしまいます。キャラデザの芦野さんと、作画の方も大変だったと思いますが、お疲れ様でした。
できた作品からの勝手な想像ですが、脚本の雪室さんは、こんなにゲストキャラを出したら作画が大変だとか、声優をたくさん集めてこなくてはいけないとか、この人物はワンカットしか登場しないとか、そういうことは基本的に気にせず脚本を書いているような気がします。

それから親子二人三脚のシーンで、あずきの父が途中でばててきて、あずきが心配して声をかけるカットがあり、自分もセル画を持っているのですが、このセル画の番号がなんと52番です。コマ送りで見ると約6秒のカットにほぼ2コマ作画で60枚以上もセルを使っているようです。走りながらだんだん疲れてきたり、横向きでしゃべるというのは、繰り返しや口パクにしにくい動きなのだと想像しますが、こういうところも手抜きしないのが「あずきちゃん」のステキなところです。なお、このセル画には1か所塗りミスがありますので、ヒマな方は間違い探ししてみてください。

一方こちらはセル2枚だけなのでした。

ということで、この回はヨーコちゃん回でもジダマ回でもなく、お父さんとお母さんの回となったのでした。