「あずきちゃん」第115話 やり残した仕事

1期ではあずきのライバル、2期ではややピエロ的な存在となり、3期ではその魅力も垣間見せたヨーコちゃん。毎週再放送で見ていると、移り変わりがよくわかりました。その中で、あずきとは互いに認め合う関係になってきましたが、ジダマとは完全に水と油のままでした。最終回の2話を残してここにこの話を持ってきたということは、雪室さんにとってこれがやり残した最後の仕事だったのではないかと思います。

二人とも脚本上は大活躍してくれていたわけですが、ジダマはだいたい正義の側で、ヨーコちゃんはどちらかと言えば問題児です。二人を対等の関係に持ち込むために、あえてジダマにミスを誘発するという巧妙な仕掛けを用意します。


状況証拠は激しくクロでしたが、証拠をつかむまでは動くべきではなかったという巧妙な罠でした。電話のタイミングも見事でした。
そして今回異例なのがジダマの動き(特に表情変化)で、こんなにジダマ作画に資源を割いたのはシリーズ中最初で最後なのではないでしょうか。絵コンテの坂田純一さん、あらためて担当話を確認すると、結構好きな話や、動きが記憶に残っているカットも多いです。

クラス名簿に朝香守男(浅香守生)さんが入っているのは、浅香さんが「あずきちゃん」に一時参加していたこともあるでしょうが、後番組で組むことが決まっていたからでしょうね。井上隆さんは誰のことかよくわかりませんでした。


二人の対決は榊原家のリビングで決したかと思ったのですが…。それにしてもジダマいいなー。節度を持った画像引用を心がけてきましたが、今回はたまらず完全にジダマキャプチャー集になってしまいました…ご容赦を。


そして、一度納まりつつあった炎に油を注いだのは勇之助でした。今回の勇之助は随所にいつもと違う表情やセリフがあり、明らかに転校を意識していて、その前にジダマとヨーコちゃんに少しでも仲良くなってほしいというのが、自分のやり残した仕事なんだという思いが見て取れます。しかし、説明セリフなどはほとんど無いので、初見の人は最終回の後にもう一度見直さないとわからない作りになっています。

勇之助の策略で観覧車に乗せられてしまった二人でした。偶然と言うにはできすぎたタイミングなので、実は超能力者の勇之助が、サイコキネシスで観覧車を止めたことにしておきましょうか…。


何か大きな困難に直面すると、ふだん疎遠だった人とも協力しちゃうというのは、震災後の復旧のときに実感しました。そういう意味では、常に危機に見舞われていた方が人間関係が深くなるのでしょうね。安寧過ぎるのも考えものです。


そしてこれですよこれ。ワンエピソードで仲直りするなんて絶対にあり得ないので、ちょっとだけ距離が近づいたというのがいいですよね。
すっかりジダマばかりになってしまったので、最後にヨーコちゃんを。

あと2話を残すだけになってしまいました。