「あずきちゃん」第104話 持ち上げて落とす

お引っ越しネタです。原作小学生編最後で、勇之助がアメリカに行ってしまうことは皆さん知っていると思いますので、ネタバレ前提で書いています。
もともと第1話から転校生ものだったので、いつか誰かが転校してしまうという不安感は少しずつ出てきていました。

  • 第54話:ラストシーンであずきが突然、勇之助が転校するのではないかという不安に駆られます。2期が始まったばかりなので、最終回を見据えた展開ではないと思います。
  • 第70話:おじいちゃんが病気で倒れ、千住で同居して転校かという展開になります。この第104話に直結した内容になっています。
  • 第73話:昔同級生だったいじめっ子の拓ちゃんが、1日だけ出席して去っていくという話で、やはり転校での別れの気持ちがテーマになっています。
  • 第76話:お正月にニューヨークのお父さんのところに行った勇之助から、なかなか年賀状が届かなく、引っ越しするとか、榊原家に下宿するとかウワサが流れる話でした。
  • 第93話:だいずが犬を飼いたいとわがままを言う話で、マンションで犬は飼えないというところが、今回の話の伏線になっています。
  • 第99話:勇之助がアメリカのお父さんのところに行って、キーホルダのお土産を持って帰ってくる話です。キーホルダという家を想起させるアイテムも、引っ越しにつながっていたというのは考えすぎでしょうか。

そして、この第104話です。まとめてみると、おそらく第1期(1〜39話)のときは早々と2期継続が決定していて、お別れ話をやる必要がなかったのではないかと想像しています。第2期(40〜78話)は70話台でかなり転校ムードを盛り上げていて、これをラストにつなげるつもりだったけど、その後3期継続が決まったのかなと。で第3期(79〜117話)はついに本当の別れが来るわけです。でも勇之助の転校の前に、あずきの転校話を出してきて、二人の気持ちを語らせたことで、最終回に向けた巧妙な踏み台になっているのです。

話は突然のドライブから始まります。勇之助と遊びに行く予定だったのに急に連れ出され、不満だったあずきを、家を買いに行くという、さらに大きな衝撃が襲います。家は「八尾ニュータウン」ということなので、周囲の山がちな風景を見ても八王子か高尾あたりなのでしょう。当然、転校ということになります。
余談ですが、この頃カーナビは事実上無く、みんな紙の地図を見ながら運転していました。カーナビが普及しだしたのは、GPSの誤差信号が無くなった2000年頃だった…ような気がしたけど、1990年頃からあることはあったのですね。でも97年頃だとカーナビ付けている人はほとんどいなかったと思います。
カーナビ・ヒストリー CarNavigation進化の歴史

住宅の抽選シーンは意図的に飛ばし、その後の残念会(遊園地の観覧車)で落選がわかります。このへんのシーンの省略や、数字にこだわった脚本はお見事です。

で、いったん落選を喜ばせておいて、さらにどん底に突き落とすという、これも鬼と言うしかありませんね。

ここから、ヨーコちゃんやジダマが暗躍し始めます。しかしジダマの老人作戦は墓穴を掘る結果に。

小学生にとっては小学校が全世界なので、転校というのは大人が思う以上の恐怖感だったような気がします。勇之助と離れる心配しかしていない、身勝手なあずきでしたが、この回は少しかわいそうでした。そういえば自分も明日から違う職場に…。

この話で、転校の話を聞いた勇之助の反応はあっさりしすぎていて、それもあずきの不安の一因でもあったのですが、これは明らかに、勇之助のニューヨーク行きが具体化しつつあって、小笠原家で議論の真っ最中であることを意味していると思います。「持ち上げておいて落とす」内容の今回でしたが、結局今回のラストで持ち上げておいても最終回で落とすわけで、見ている方もこれから覚悟が必要になってきます。

えらく珍しい組み合わせで面白かったのですが、話に入れられなくて余ってしまいました。