サザエさん(フジテレビ) 2016年8月放送予定

サザエさん」の雪室さん脚本作品です。

  • 8月7日「ケタちがいの人たち」「ピンクのそうめん」
  • 8月14日「怪談よりこわい電話」「波平お子様ランチ」
  • 8月21日「ノリスケの暑い夏」
  • 8月28日「男ナミダの穴子さん」

「あずきちゃん」 ベストエピソードは?

再放送終了の勢いで、数学三大難問に匹敵するという「あずきちゃん」ベストエピソードは何か問題に挑戦してみようかと思います。これはあらゆる人が異なった結果を出してしまうという問題で、当然正しい答などありません。サブタイトルのリンク先が感想になっています。
第17話 女の意地!? 決闘タコ公園

第21話 ドッキリ! 恐くてうれしい林間学校

第27話 ガーン! 勇之助くんなんか大きらーい

第30話 大ピンチ! なかよし三人組

第31話 涙のヒロイン! ガラスの靴は誰のもの

第43話 いじっぱり! ジダマv.s.おばあちゃん

第55話 もうケッコー! ヨーコちゃんの飼育係!?

第78話 春いちばん! 勇之助くんと結婚式

第85話 いつも迷子! テレビ局大ツアー

第89話 再会! お父さんの恋人

第92話 大スクープ! ヨーコちゃんの学級新聞

第97話 夢少女! まことくんのあこがれ

第106話 どうなるの? かおるちゃんのクリスマス

10選を目指してみましたが、なにぶん、1次候補に40本以上残ってしまい、どれも名作であとはやけっぱちです。心動かされる作品と、文句なく楽しい作品に偏ってしまいましたが、どれも脚本のすばらしい作品だと思っています。原作恋愛ネタがほとんど無いのは個人的趣味ということでご理解ください…。

「あずきちゃん」第117話 最終回記念

ついに最終回が来てしまいました。
NHK教育放送時に最終回を見た後は、かなり精神的ショックが大きく跡を引いたので、その後はあまり見る機会も少ない回でした。久々に見ると案外平気でしたが、そうは言っても繰り返し見て感想を書くのも気が乗らないので、今回は最終回記念にセル画コレクション展でもやりましょう。

「凶」のおみくじを引いてしまったあずきちゃん。欄外にタイトルが入っていますが、普通はセル番号しか入っていないので、スタッフのどなたかが最終回記念に書いたと思われます。
今回だけ、画像のリンク先で「オリジナルサイズの表示」を押すと1600×1200の大きい画像が表示されます。ちゃんとした撮影機材や背景紙を使っていないので、撮影がいまいちですがお許しを。



オープニングです。カットによってセルの大きさが違っていて、大判を使っているところもあります。セルの位置合わせ穴の間隔と比較すると、版の大きさがわかります。


1期エンディングのシャボン玉です。長尺セルが使われていましたが、保管環境優先のため泣く泣く切り離してしまいました。

アイキャッチはセルの表側に、太い油性ペンでりんかくを手書きしています。元は細い線だったのかもしれません。あとは2期〜3期エンディングも。
AT-Xも6月で解約してしまったし、人生の目標を半分失ってしまったような、反面やっと重荷を下ろしたような、変な気分です。「あずき感想」を読んでいただいた方、コメントをくれた方、ありがとうございました。
最後に3期のまとめです。やっぱり3期いちばん好きですね。
第79話 エイプリールフール合戦
第81話 困った助っ人×3
第82話 ジダマ萌えは正義
第85話 NHKスタジオパークに行こう
第87話 すべてがジダマ話になる
第89話 アダルト向け作品
第92話 捏造新聞に廃刊勧告
第95話 特急あずさ松本行き
第97話 夢少女・次元を問わず
第99話 本当は怖いアメリカ土産
第102話 DNAの所業
第104話 持ち上げて落とす
第106話 でもたまには張り切らないと
第107話 9.11以前
第108話 窓さん
第110話 オランウータン カバ ヒト
第113話 近藤プロデューサーの骨折りに感謝
第114話 10年どころか
第115話 やり残した仕事

サザエさん(フジテレビ) 2016年7月放送予定ほか

サザエさん」の雪室さん脚本作品です。

  • 7月3日「跳んでるおばさん」
  • 7月10日「ぼくは休日評論家」
  • 7月17日「虹をつかむイクラ
  • 7月24日「うちでいちばん偉い人」「100人のお客さま」
  • 7月31日「サビ抜きの世界」

ついでに、出る予定のDVD-BOXをご案内。

こちらは全95話中74話が雪室さん脚本という、濃い作品なので雪室ファンはぜひ見てください。主人公がケンちゃんのようで、少しエロい話です。以前出たBOXは絶版になった後、プレミアムが付いて入手困難になっていたようです。全26話×2本のうち、雪室さんの脚本は3本です。レア作品なので、DVD化されるとは驚きです。

「あずきちゃん」第115話 やり残した仕事

1期ではあずきのライバル、2期ではややピエロ的な存在となり、3期ではその魅力も垣間見せたヨーコちゃん。毎週再放送で見ていると、移り変わりがよくわかりました。その中で、あずきとは互いに認め合う関係になってきましたが、ジダマとは完全に水と油のままでした。最終回の2話を残してここにこの話を持ってきたということは、雪室さんにとってこれがやり残した最後の仕事だったのではないかと思います。

二人とも脚本上は大活躍してくれていたわけですが、ジダマはだいたい正義の側で、ヨーコちゃんはどちらかと言えば問題児です。二人を対等の関係に持ち込むために、あえてジダマにミスを誘発するという巧妙な仕掛けを用意します。


状況証拠は激しくクロでしたが、証拠をつかむまでは動くべきではなかったという巧妙な罠でした。電話のタイミングも見事でした。
そして今回異例なのがジダマの動き(特に表情変化)で、こんなにジダマ作画に資源を割いたのはシリーズ中最初で最後なのではないでしょうか。絵コンテの坂田純一さん、あらためて担当話を確認すると、結構好きな話や、動きが記憶に残っているカットも多いです。

クラス名簿に朝香守男(浅香守生)さんが入っているのは、浅香さんが「あずきちゃん」に一時参加していたこともあるでしょうが、後番組で組むことが決まっていたからでしょうね。井上隆さんは誰のことかよくわかりませんでした。


二人の対決は榊原家のリビングで決したかと思ったのですが…。それにしてもジダマいいなー。節度を持った画像引用を心がけてきましたが、今回はたまらず完全にジダマキャプチャー集になってしまいました…ご容赦を。


そして、一度納まりつつあった炎に油を注いだのは勇之助でした。今回の勇之助は随所にいつもと違う表情やセリフがあり、明らかに転校を意識していて、その前にジダマとヨーコちゃんに少しでも仲良くなってほしいというのが、自分のやり残した仕事なんだという思いが見て取れます。しかし、説明セリフなどはほとんど無いので、初見の人は最終回の後にもう一度見直さないとわからない作りになっています。

勇之助の策略で観覧車に乗せられてしまった二人でした。偶然と言うにはできすぎたタイミングなので、実は超能力者の勇之助が、サイコキネシスで観覧車を止めたことにしておきましょうか…。


何か大きな困難に直面すると、ふだん疎遠だった人とも協力しちゃうというのは、震災後の復旧のときに実感しました。そういう意味では、常に危機に見舞われていた方が人間関係が深くなるのでしょうね。安寧過ぎるのも考えものです。


そしてこれですよこれ。ワンエピソードで仲直りするなんて絶対にあり得ないので、ちょっとだけ距離が近づいたというのがいいですよね。
すっかりジダマばかりになってしまったので、最後にヨーコちゃんを。

あと2話を残すだけになってしまいました。

早川駅を空から見てみよう

BSジャパンで6/7に放送された「空から日本を見てみよう」で、早川駅が「カツオと早川さんが訪れた」と紹介されていたということで、驚きです!



こちらから動画配信を見ることができます。(6/21まで)
空から日本を見てみよう plus【BSジャパン】|ネットもテレ東 テレビ東京の人気番組動画を無料配信!
最初から見ても面白いですが、早川駅は1:02:00〜1:04:00頃を見てみてください。

「あずきちゃん」第114話 10年どころか

「盗作はダメ!」というのがこの話の表向きのテーマだとしたら、「10年経っても忘れられない絵がある」が裏のテーマでしょうか。「あずきちゃん」は20年経っても忘れられない(一部の人に?)作品となって、まさにこの話を体現してしまったわけですが。
DVD-BOXのブックレットに、この話は元々12月8日放送の予定だったのが、11月18日の放送休止の影響で他の回の季節がずれないように、2月24日放送に変更になったことが書かれています。本来は第104話になるはずだったというのは小さい豆知識です。


火災予防ポスターを描く話なのですが、平凡なあずきとかおるちゃん、ちょっとセンスあるヨーコちゃんと勇之助と、美術の方もうまく書き分けています。そして問題の発端になるのが、まことのポスターで…

満塁軒火災のポスターは怒ったケンに破かれてしまいますが、さすがに誰もまことの味方になってくれる人はいません。そして翌日までに新しいポスターを作らなければいけないまことは、盗作に手を染めることに…。

このへんから、消防署やまことのお姉さんもストーリーにからみ出します。同じポスターねたということか、夢少女のポスターも登場します。

珍しいキャラクターが活躍したうえに、最後は伏兵であずきのお父さんが登場。話をしっかり締めてくれました。と思ったら、ラストシーンはだいずネタだったのでした。

今回も一見、普通に面白くて単純な話にしか見えませんが、冒頭を避難訓練にして、まことを一躍主役に引き立てたり、盗作ポスターをめぐる二転三転のストーリー展開、ラストの締めまで見事な構成だと思います。最初にあずきのアイロン火災のポスターを見て、だいずが「ドジなポスター」と言っていたのが、ラストの伏線になっていますね。「火事は110」とか、「消防署が火事」とか、だいずの「ノックして」とか細かい台詞回しも神がかっていて、実はシリーズ中でもかなり完成度の高い脚本なのではないかと思います。まことが主役にもかかわらず(笑)、工作精度の高い部品がきっちり組み上がったような印象を感じる作品でした。

「あずきちゃん」第113話 近藤プロデューサーの骨折りに感謝

今回は、満塁軒で買った新車に乗って八ヶ岳に行く話です。ケンの父の友人?の近藤が経営するペンション「青いレタス」に泊まるはずでしたが、近藤がスキーで骨折してしまうことで話がややこしくなります。

その「近藤」ですが、おそらくプロデューサーの近藤栄三さんから取った名前だと思うのです。
TVアニメのプロデューサーというのは、視聴者には直接仕事が見えないので非常にわかりにくい存在なのですが、番組の企画書を書いたり、原作と主要アニメスタッフを結びつけたり、名前の通り番組の根幹に関わっている人なのです。脚本家は監督が呼んでくるときもあるようですが、雪室さんはほとんどプロデューサーとの縁で引っぱられてくるようで、エッセイ「テクマクマヤコン」でも関わったプロデューサーのことをたくさん書いています。
近藤プロデューサーは「あずきちゃん」DVD-BOXのブックレットにも、『サザエさんの制作進行をしていたときの夢「脚本家の雪室俊一先生と仕事をしたい」が叶い…』と書いているので、雪室さんを「あずきちゃん」にフィーチャーしてきた張本人に違いないと思っています。骨折出演の機会に感謝を申し上げたいです。

満塁軒の新車は7人乗りのワゴン車です。峠を走るのには向かなそうな車ですが、今まで誰も満塁軒の痛車を作った人はいないと思いますので、どなたか…。
この車に乗る人が次々と変わっていくのが、今回の面白いところと言えましょう。順にたどっていって、車に乗っていない人を[大カッコ]でくくってみますと、

  1. だいずの目論見:ケン父(ドライバー)、ケン、勇之助、あずき、かおる、ジダマ、だいず
  2. 実際の計画:ケン父(ドライバー)、ケン、勇之助、あずき、かおる、ジダマ、まこと [だいずは行けない]
  3. 脱落者発生:ケン父(ドライバー)、ケン、勇之助、あずき、かおる
  4. おじゃま虫追加:ケン父(ドライバー)、ケン、勇之助、あずき、かおる、だいず、ヨーコ
  5. 実際のドライブ:ケン父(ドライバー)、ケン、勇之助、あずき、かおる、だいず、ヨーコ [ジダマとまことは結局電車で別行動]
  6. 近藤骨折:ケン父(ドライバー)、ヨーコ(睡眠中) [ケン、勇之助、あずき、かおる、だいずは途中から徒歩][ジダマとまことは駅から徒歩]
  7. 病院帰り:ケン父(ドライバー) [ヨーコは病院から徒歩][ケン、勇之助、あずき、かおる、だいずは香月先生宅][ジダマとまことはペンション]
  8. 大団円:[ペンションに全員集合]

この搭乗人物の変化一つ一つに、ちゃんとエピソードが存在していて、話もしっかりつながっているのです。別々のルートに分かれて同じ目的地に着くお出かけ話は雪室さんの得意パターンですが、その中でも最大級の複雑話だと思います。


ジダマとまことが電車で着いた駅は、甲斐大泉駅がモデルになっているのは常識でしょう。

ガッツあるヨーコちゃんは、だんだん憎めない存在になってきました。
こんなに込み入った展開で、八ヶ岳の往路だけでもお腹いっぱいだというのに、香月先生のことやペンションでのエピソードもしっかり書き、これでエンディングかと思ったらあと2分残して翌日のスキーも入れちゃうのです。見ていて時間感覚が狂う密度感です。光速に近い速度で移動していると時間が遅く進むという、あの某理論のようであります。

今回発見したのは、同じ日にペンションに泊まった団体が高校生だったことで、雰囲気的に大学生だと思っていたのに意外でした。あと、近藤は30人近い宿泊者を一人でさばくつもりだったのだろうかと疑問も…。これは気にしないということで。

サザエさん(フジテレビ) 2016年6月放送予定

サザエさん」の雪室さん脚本作品です。

  • 6月5日「タラちゃんボンボン時計」
  • 6月12日「うちのお天気お姉さん」
  • 6月19日「中島くんのブレザー」
  • 6月26日「若きカツオの悩み」

月4本ペースに落ちちゃったんでしょうか…。

「あずきちゃん」第110話 オランウータン カバ ヒト

よく子供たちの親が出てくる「あずきちゃん」ですが、クラスメイトの相手家族との関係が描かれている作品も、第24話(勇之助−あずき祖父)、第29話(勇之助−あずき父)、第77話(あずき−勇之助母)、第106話(ケン−かおる父)と結構あります。まこと−トモちゃん父の関係が主題になるこの話も、第106話と構図が似ていて、ストーリーは全く異なるのですが、双子のような作品という個人的印象です。
トモちゃんの両親は原作には出てきませんが、アニメでは母親が既に家庭訪問のときに登場しています。しかし、優しそうな母親で、まことと組み合わせても面白くなる感じではありませんでした。今回は逆に厳しく気むずかしそうな父親を登場させることが、ドラマの起点になっています。

そして、まことがオランウータン似で、母親を亡くして弱っていたオランウータンの子(マギー)に好かれるというプロットを思いついたときに、この話の骨格が完成したのではないかと思います。

動物園に勤める獣医のお父さんは、具合の悪い動物が多くて家にほとんど帰れません。トモちゃんはお父さんにお弁当を届けるときに、まことを連れて行って紹介しようと思いましたが、急患続きでお父さんはそれどころではありません。まことはあいさつすらしてもらえなく、すっかり嫌われたと思います。

しかし、弱っていたマギーがまことになつき、元気になってきたことで、まことはお父さんに気に入られたかのようでした。その一方で、お父さんはまことの名前もちゃんと覚えていなく、おそらくまことのことを「動物に好かれる子」くらいにしか思っていない様子です。この話の中では、娘のボーイフレンドとはまだ気づいていないでしょうね。なかなか恐ろしいリアリズムです。日アニでないのにアライグマも登場。


そして、そんなメインストーリーだけで終わるわけがないのが「あずきちゃん」で、年老いたカバのミドリの話からジダマのおばあちゃん行方不明事件が起こったり、オランウータン死亡事件が起こったりと最後まで息をつかせません。「深さないで」は「サザエさん」「キテレツ大百科」でも出てきましたね。
カバのミドリのモデルは、長寿で子だくさんだったということから名古屋東山動物園の「福子」でしょう。ちょうど脚本を書いていたと思われる本放送数ヶ月前の97年8月に死去したということなので、案外こちらが話を作るきっかけだったのかもしれませんが…。
http://www.higashiyama.city.nagoya.jp/17_blog/index.php?ID=1811
カバ、オランウータン、ヒトとどれも親子関係の話になっているのは偶然でしょうか?

あとは、かおるちゃんを動物園に用事で来れない設定にして、最後に顔を出させる演出が心憎いです。あずきは今回はサブキャラ(笑)でした。
3期の君塚作監はこの回だけで、久々に見た感じがしました。1期のような作監による差異はなくなっていますが、ところどころ君塚さんにピンときました。

「あずきちゃん」第108話 窓さん

この話は「窓さん」を探す話なのです。おそらくこの話を予備知識無しに見た人は「窓さん」が何なのか、よく理解できないと思うのです。Microsoft Windowsの窓辺ななみさんではないのです。

今回のゲストキャラであるビリーさんがその鍵を握るわけですが、ビリーは、勇之助のお父さんの知り合いのカメラマンで、和服の撮影に来日していたのでした。

今でこそ外国人の声優さんやアニメスタッフもいますし、日本人の声優さんでもそれなりに英語の話せる方もいますが、この当時本当のネイティブの方を声優に起用する例はほとんどなかったと思います。ましてや、英語のセリフのためではなく、外人っぽい日本語セリフを言わせるために外国人を引っぱってくるのは異例です。
単なる推測に過ぎませんが、笛を吹くとなればプロ奏者の吉澤実さんを連れてきて(あずき49話)、ピアノの演奏があれば世界的名演奏家アシュケナージに弾かせてしまう(ピアノの森)、小島監督の仕業ではないでしょうか。外国人が出てくるのは香月先生と結婚するケントさんに続き二人目で、ケントさんは日本人声優さんが演じていたので、このときに外国人を起用してみたいと思った…のかもしれません。
ビリーの声を演じたジェフ・マニングさんはNHK英会話教室に出演していたので、おそらくNHKつながりで声がかかったのではないでしょうか。出演歴を見ても、アニメやゲームに出たのは「あずきちゃん」が初めてで、アニメ声優として活動しようとしていたわけではなさそうです。
ジェフ・マニング - Wikipedia
脚本を書いていたり絵コンテを進めていた時点では、おそらく本物のアメリカ人が演じるということは想定していなかったと思います。変な日本語を使うネタがたくさん出てきますが、発音がうますぎるので、日本人が外人風に話すよりもよほどナチュラルです。変な外人をフィーチャーするのは雪室さんの得意パターンでもありますが、自分の知っている範囲では日本人声優が外人風に演技しているものばかりで、雪室さんも放送を見たときは驚いたのではないかと想像しています。
ところが…、日本語には外来語があるのですよ。この話で出てくる語は「モデル」「イメージ」「カメラ」「ファインダー」です。「イメージ」がカタカナ風に発音されているのを除いては、外来語はかなり英語に近い発音「model」「camera」「finder」でした。そして、日本語につなげて英単語を発音するとどうしてもちょっと変わってしまいます。「model」末尾の「l」が聞き取れないくらい弱くなって「マドゥ」「マドさん」になってしまいました。「イメージ」の例を見てもカタカナ風の発音はできる方なので、聞き取れないことを承知の上でこのような演技にすることを、監督や音響監督が決めたのだと想像しています。
自分も初めて見たときにこの発音を聞いて、そしてEDスタッフに外国人らしい名前が出ているのを見て、「あずきちゃん」はそんなに真面目に作っている作品だったのかと結構衝撃を受けました。

今見ると「え〜あずきが大和撫子?」と思わず言ってしまうのですが(笑)、今回はいろいろ苦労もしたようなので認めてあげることにしましょう。あずきが持っている四角い物体は、窓ではなく、撮影に使うレフ板です。

そしてこういうコンテを書くのは片渕さんの趣味であろうというのも、今見て想像していることだったりします。

サザエさん(フジテレビ) 2016年5月

サザエさん」放送予定

  • 5月1日(第2355回)雪室、城山、小林
  • 5月8日(第2356回)雪室、城山、中園
  • 5月15日(第2357回)雪室、城山、浪江
  • 5月22日(第2358回)雪室、城山、広田
  • 5月29日(第2359回)雪室、城山、中園

水木しげる追悼企画で発売された?「カッパの三平」劇場版DVDを見てみました。
まず、DVDなのに画質がすごく良いです。フィルム制作で今までVHSしか出ていなかったので、当然最新技術でマスタリングしたと思われます。付録のブックレットは劇場公開時のパンフのミニチュアで、雪室さんの短文コメントもありました。
雪室さんの脚本はすばらしいです。現実と非現実の境界線上で起こる、わけのわからない出来事の連続を、冷静さとエモーションのどちらにも偏らず描ききっていると思います。水木さんの原作の作風が、みごとにアニメ作品に再構成されたのではないでしょうか。安いし、これは買いですよ…。
時間を見つけて感想をまとめてみたいと思います。

「あずきちゃん」第107話 9.11以前

第107話はニューヨーク行きの切符が余る話ですが、今となっては、誰でも乗れる航空券とか、飛行機の乗り間違いとか、セキュリティ的にあり得なくなってしまったので、ちょっと引いて見ざるを得ない話になってしまいました。2001年の9.11以前も本来はあり得なかったのかもしれませんが、そんなこともあるのかなというくらいの印象しか持たなかったので、20年の間に世界が大きく変わったということなのでしょう。

20年の間に、ツインタワーは無くなってしまいました。
昔からこの話の巡礼にニューヨークに行こうという話はあったのですが、あまり本気に考えたこともなく、ちゃんと場所も探していなかったのですが、今回少し真面目に探してみました。
  Daily News
勇之助の泊まっているホテルの窓から見える高層ビルは、20年の間にできるようになった写真検索などで比べた結果、左からエンパイアステートビル世界貿易センタービルWTC)のツインタワーの2つは確実と思われます。右はおそらくクライスラービルではないでしょうか。20年の間に容易に入手できるようになったニューヨーク・マンハッタンの地図に3つのビルを記してみると、これが3つ並んで見えるというのは無理だとわかります。特に、WTCエンパイアステートビルはかなり距離が離れていて、同一方向に見ようとすると上左の写真のようになってしまいます。とはいえ、WTCの右下の三角屋根のビル(Brookfield Place)を見ると、この方向から見た写真を基にしたことは間違いなさそうです。

ということで、このホテルは実在しないという結論に近づきつつありますが、いろいろと調べていたら何となく行きたくなってきてしまいました…。

しかし、久しぶりにパスポートを見ると有効期限は来月でした。まことに変装しないと…。

「あずきちゃん」第106話 でもたまには張り切らないと

第57話のあずきのおじいちゃん、第102話のジダマのお母さんと、ふだん離れている家族がたまに会えると張り切って裏目に出てしまう、この第106話もそのような親子の意識のすれ違いを描いた話です。第95話でかおるちゃんのお父さんが松本に単身赴任しているという設定が出てきたときは、単に遠出話にしたかっただけかもしれませんが、それがこんな形になるとは誰が予想できたでしょうか。

いつも雨に降られるかおるちゃんは、実は水を操ることのできる魔法少女だったのです。かおるちゃんの無意識が雨を呼んでしまう…ということは、心の底では勇之助にあこがれていたりするのかもしれませんね。

しかし、この相合傘が父に誤解を生んでしまいます。さらにこのお父さん、ケンのことを娘をいじめる悪ガキと思っていることで、話がさらにややこしいことに。かおるちゃんとお父さんのすれ違いが2本のメインの流れになり、そこにケンとあずきがからむ、4本鎖構造で話が展開します。

かおる父はよりによってあずきに、かおると勇之助との仲を取り持たせようと画策します。クリスマスパーティーのサプライズ演出のため、あずきはそのことを隠さなくてはならなくなります。
一方でケンとかおる父は一触即発の険悪な関係で、ケンがパーティーに行くのを頑なに拒んだため、落胆したかおるちゃんはクリスマスパーティーを中止にしてしまいます。ここにきてようやく大失策を自覚したお父さんは身を退くことに…。

お父さんが松本に帰ってしまったことを話すお母さん(佐久間レイさん)の語りがすごいんです。お父さんが悪いことを知っていながら全く責める様子もなく、パーティーをやり直そうと諭す口調が、何というか女神様です。このシーンの前に、どういう夫婦間の会話があったのかもとても気になるのですが、「あずきちゃん」は子供視点の話なので、大人の事情はカットされて想像にお任せになっています。こういった省略もいつも見事だと感じます。

それにしても、かおるちゃんのお母さんも魅力的ですね。

そして、すれ違っていた鎖が交わるときがきます。終業式の通知表が思わしくなく、隠れて帰宅したケンにサプライズが。そしてこの後の満塁軒の出来事も省略されることで、ラストシーンがより高まるのです。


ここはもう、映像を見てくださいとしか言いようがないです。そして今度は雪を降らせるかおるちゃんは、やっぱり魔法少女だと思います。ちなみに舞台は阿佐ヶ谷駅南口です。
今回は、絵コンテ・演出が片渕さん、作画監督が芦野さんのゴールデンスタッフで、派手に動いたりするところは少ないのに作画がすばらしいです。あまりにも高度に発達したアニメは、実写と区別がつかない…というか実写じゃこんな作品できないでしょう。
しかし演出が張り切ってしまったためなのか、かおるちゃんの目パチに面白いコマがたくさん挟まっていて、何だか気になってしまいました。普通はかおるちゃん属の目パチ中割りはただの楕円になるんですが、ちょっと冒険していて動画でもやや違った印象になっていると思います。


え、コマ送りするなって? アニメの動きが面白いと教えてくれたのが、他ならぬこの演出をした片渕さんなのですが。

「あずきちゃん」第104話 持ち上げて落とす

お引っ越しネタです。原作小学生編最後で、勇之助がアメリカに行ってしまうことは皆さん知っていると思いますので、ネタバレ前提で書いています。
もともと第1話から転校生ものだったので、いつか誰かが転校してしまうという不安感は少しずつ出てきていました。

  • 第54話:ラストシーンであずきが突然、勇之助が転校するのではないかという不安に駆られます。2期が始まったばかりなので、最終回を見据えた展開ではないと思います。
  • 第70話:おじいちゃんが病気で倒れ、千住で同居して転校かという展開になります。この第104話に直結した内容になっています。
  • 第73話:昔同級生だったいじめっ子の拓ちゃんが、1日だけ出席して去っていくという話で、やはり転校での別れの気持ちがテーマになっています。
  • 第76話:お正月にニューヨークのお父さんのところに行った勇之助から、なかなか年賀状が届かなく、引っ越しするとか、榊原家に下宿するとかウワサが流れる話でした。
  • 第93話:だいずが犬を飼いたいとわがままを言う話で、マンションで犬は飼えないというところが、今回の話の伏線になっています。
  • 第99話:勇之助がアメリカのお父さんのところに行って、キーホルダのお土産を持って帰ってくる話です。キーホルダという家を想起させるアイテムも、引っ越しにつながっていたというのは考えすぎでしょうか。

そして、この第104話です。まとめてみると、おそらく第1期(1〜39話)のときは早々と2期継続が決定していて、お別れ話をやる必要がなかったのではないかと想像しています。第2期(40〜78話)は70話台でかなり転校ムードを盛り上げていて、これをラストにつなげるつもりだったけど、その後3期継続が決まったのかなと。で第3期(79〜117話)はついに本当の別れが来るわけです。でも勇之助の転校の前に、あずきの転校話を出してきて、二人の気持ちを語らせたことで、最終回に向けた巧妙な踏み台になっているのです。

話は突然のドライブから始まります。勇之助と遊びに行く予定だったのに急に連れ出され、不満だったあずきを、家を買いに行くという、さらに大きな衝撃が襲います。家は「八尾ニュータウン」ということなので、周囲の山がちな風景を見ても八王子か高尾あたりなのでしょう。当然、転校ということになります。
余談ですが、この頃カーナビは事実上無く、みんな紙の地図を見ながら運転していました。カーナビが普及しだしたのは、GPSの誤差信号が無くなった2000年頃だった…ような気がしたけど、1990年頃からあることはあったのですね。でも97年頃だとカーナビ付けている人はほとんどいなかったと思います。
カーナビ・ヒストリー CarNavigation進化の歴史

住宅の抽選シーンは意図的に飛ばし、その後の残念会(遊園地の観覧車)で落選がわかります。このへんのシーンの省略や、数字にこだわった脚本はお見事です。

で、いったん落選を喜ばせておいて、さらにどん底に突き落とすという、これも鬼と言うしかありませんね。

ここから、ヨーコちゃんやジダマが暗躍し始めます。しかしジダマの老人作戦は墓穴を掘る結果に。

小学生にとっては小学校が全世界なので、転校というのは大人が思う以上の恐怖感だったような気がします。勇之助と離れる心配しかしていない、身勝手なあずきでしたが、この回は少しかわいそうでした。そういえば自分も明日から違う職場に…。

この話で、転校の話を聞いた勇之助の反応はあっさりしすぎていて、それもあずきの不安の一因でもあったのですが、これは明らかに、勇之助のニューヨーク行きが具体化しつつあって、小笠原家で議論の真っ最中であることを意味していると思います。「持ち上げておいて落とす」内容の今回でしたが、結局今回のラストで持ち上げておいても最終回で落とすわけで、見ている方もこれから覚悟が必要になってきます。

えらく珍しい組み合わせで面白かったのですが、話に入れられなくて余ってしまいました。